【北京=三塚聖平】北京冬季五輪開幕まで1週間となった28日、中国外務省は開会式に外国の国家元首ら要人計32人が出席すると発表した。国内では大会本番が迫り、習近平国家主席(共産党総書記)の存在を強調する動きも目立つ。今年後半の党大会で長期政権を目指す習氏が、五輪を通じて権威を高めようとする狙いがうかがえる。
外務省によると、開会式に出席するのはロシアのプーチン大統領やグテレス国連事務総長を含む国家元首や政府首脳、国際機関の幹部ら。欧米主要国の国家元首や首脳の参加はない。
中国の代表選手ら約100人は25日早朝、北京市中心部の天安門広場で中国国旗を掲げ、「総書記に付き従い、共に未来へ向かう」と宣誓を行った。選手らは「領袖(りょうしゅう)に報いて捨て身になる!」とも一斉に声を張り上げ、必勝を誓った。「領袖」は習氏を示す呼称として使われている。
中国の会員制交流サイト(SNS)ではこうした宣誓に「国民は不要なのか」といった批判の声も上がった。だが、現在、そうした投稿は削除されている。
中国国営中央テレビ(電子版)は、五輪開閉会式の総監督を務める著名映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏が開会式では「全人類が共有する精神や理念、人類運命共同体」を重視すると伝えた。「人類運命共同体」は、習氏が掲げてきたスローガンだ。
中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は28日の記者会見で、バチェレ国連人権高等弁務官が新疆(しんきょう)ウイグル自治区を訪問するとも明らかにした。
同自治区での人権侵害をめぐっては、米国などが五輪を「外交的ボイコット」する理由に挙げ、これまでにバチェレ氏の現地調査を要求していた。趙氏は訪問目的を「双方の交流と協力を促進すること」と説明。訪問により弾圧を否定する中国の主張の正しさをアピールするとみられる。