政府は「佐渡島の金山」(新潟県)の世界文化遺産への推薦を決めたが、直前まで先送りの可能性も探っていただけに、韓国との「歴史戦」に臨む準備は万全とはいえない。来年夏の登録に向け、韓国側の主張に反論するための論拠や資料を急ピッチで固め、国連教育科学文化機関(ユネスコ)加盟国の理解を得られるかが焦点となる。
政府の推薦を受け、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)が1年以上をかけて審査する。「記載」「不記載」などの勧告を出し、21カ国で構成する「世界遺産委員会」が来年6~7月に決議する。全会一致を原則とするが、決着がつかなければ投票を行う。3分の2(14カ国)以上の賛成が登録条件で、登録が拒否されれば再推薦は原則できない。
韓国が熾烈な宣伝戦を仕掛けてくるのは明らかだ。平成26年に日本が端島炭坑(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」を推薦した際も、イコモスや世界遺産委にロビー活動を展開し、事実に反する情報も氾濫させた。