新型コロナウイルスとの闘いが3年目を迎えた。日本は新変異株「オミクロン株」感染拡大への「恐怖」に覆われ厳しい水際対策が続くが、同時にコロナ後の国際社会で厳しい競争に敗北する「恐怖」にも目を向けねばならない。
私が滞在している英国では今年に入り、ワクチン接種完了者の事前検査撤廃など入国規制が緩和され、マスク着用義務など行動制限もほぼ撤廃された。感染は続き、日本人としては違和感も覚えるが、オミクロン株による重症化リスクが低いという新たな状況を踏まえ、対策によるコストと利益を考慮し、政府が政治的な判断を下した結果だ。
ロンドンでは制限撤廃前の感染拡大中も地下鉄でマスクを着用する乗客が少なく、パブは人で溢(あふ)れた。日本人として、もう少し感染対策に注力してもよいのではないか、自由が過剰ではないか、と感じる。だが、英国民の場合は自由が抑圧されることへの抵抗が強い。自由を失う恐怖が突出する。これが規制撤廃を国民が支持する理由の一つだろう。厳しい制限を課さない米国も同様といえる。