主張

コロナと社会活動 「待機期間」を6日とせよ ワクチン追加接種に全力を

オミクロン株の猛威による新型コロナウイルスの感染急拡大が続いている。東京都で27日、新規感染者の報告が過去最多の1万6538人を数え、全国では8万人に迫った。「第5波」のピークを大きく上回り収束は見通せない。

政府は感染拡大の後を追うように「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の対象を34都道府県にまで広げたが、このような後手のコロナ対策ではオミクロン株に対応できない。

オミクロン株は従来株に比べると感染力が強く、重症化リスクは小さいことが分かっている。医療供給態勢の逼迫(ひっぱく)、崩壊を防ぐために感染のピークをできるだけ低く抑えるとともに、社会・経済活動の停滞を最小限にとどめて国民生活を守ることが重要だ。

慎重な検討の猶予ない

目の前の危機は、感染者の拡大に伴う濃厚接触者の急増と、待機期間の設定で社会機能が立ち行かなくなっていることだ。

現行では、感染者は発症翌日から10日目まで療養し、回復が確認されれば解除される。濃厚接触者は感染者の陽性判明後に自宅待機となり感染者との最終接触後10日間の隔離が求められる。

医療従事者は例外として毎日の陰性確認を条件に出勤することができ、これ以外のエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)は最終接触後6日目にPCR検査で陰性となれば待機が解除される。

長い待機期間の設定のしわ寄せで保育所の休園が相次ぎ、工場などの稼働にも支障が出ている。

岸田文雄首相は国会で待機期間の短縮について問われ「科学的な知見を尊重し、社会経済活動を回す観点から待機期間の短縮を検討することが大事だ」と述べたが、検討にかける猶予はない。

政府が濃厚接触者の待機期間を14日から10日に短縮した際、専門家の間には「7日」とする意見もあったはずだ。国立感染症研究所の調査などで、オミクロン株に感染した場合の潜伏期間は3日程度であることが分かっている。感染者との接触から3日間で陽性にならなければ、感染の可能性はかなり低いということだ。

一般の濃厚接触者については待機期間は6日程度を原則とし、エッセンシャルワーカーについても陰性確認を条件に医療職と同様の対応とすべきだろう。

潜伏期間が6日を超えて発症に至るケースが皆無ではないだろうが、わずかなリスクのために職場復帰を止めることは、社会全体の大きな損失になる。

高齢者など重症化リスクを抱える人ほど、社会活動に支えられている度合いが大きいことも、考慮すべきである。

首相自らの言葉で語れ

急ぐべきもう一つは、ワクチンの追加接種である。岸田首相は26日夜、ツイッターに動画を投稿して「最も効果的な予防方法はワクチンの3回目接種だ。3回目の接種をすればいったん低下したワクチンの効果を取り戻し、感染を防ぐことができる」と訴えた。

戸惑った国民も多いのではないか。現状では、打ちたくても打てない人がほとんどである。

首相自身が3回目のワクチン追加接種を「最も効果的な予防方法」と認めるならば会見を開いて追加接種への協力を求め、打てる態勢をどう迅速に構築するか、語るべきだった。

それが首相の責任である。ツイッターでの言いっぱなしは、いかにも中途半端だった。

呼びかけでは「米モデルナ製のワクチンであれば、長時間待たずに打てる所も多くなると思う」とし、1、2回目は米ファイザー製を接種した自身もモデルナ製を接種する予定だとも述べた。

だがそもそも3回目の接種券そのものが多くの国民に届いていない。米ブルームバーグ通信の26日時点での集計では、英仏独などの各国で人口の50%超が追加接種を済ませ、韓国は50%近く、米国は約25%で、日本では2%強にとどまっている。これが首相のいう「最も効果的な予防方法」の現在地である。

岸田首相に今、問われているのは「聞く力」ではなく、発信力と実行力である。

まず濃厚接触者の待機期間短縮を決断し、追加接種のスピードを加速度的に上げることだ。

これらの施策に多くの国民が共感できるよう、自らの言葉で国民に力強く、ていねいに説明することである。

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