トヨタ、EV巻き返しが王座死守のカギ 21年世界販売1位

トヨタ自動車のロゴ=東京都品川区(佐藤徳昭撮影)
トヨタ自動車のロゴ=東京都品川区(佐藤徳昭撮影)

半導体不足と新型コロナウイルス禍の二重苦の中でも、トヨタ自動車が2021年の世界販売で首位を守ったことは同社の強い調達力や危機管理能力の高さを示した。だが、新変異株「オミクロン株」の感染急拡大で1月から国内工場の停止が相次ぐなど、新車販売の先行きは楽観できない。今後は次世代車の本命とされる電気自動車(EV)の覇権争いも本格化する。EVへの転換で先行する欧米メーカーに対し、〝王座〟を死守できるか注目される。

半導体不足が21年から深刻化する中、トヨタはグループの部品大手デンソーなどと連携。きめ細かく生産計画を提示して在庫を手厚く確保するなど調達網の維持に努め、人気の高いスポーツ用多目的車(SUV)などをほぼ計画通りに投入することができた。

原油高でガソリン価格が上昇するなか、得意とするハイブリッド車(HV)は燃費性能の良さが高く評価され、販売にも貢献した。

ただ、世界的な環境規制の強化と脱炭素化に向けた動きを背景に、将来はEVが電動車の主役となるのは確実とみられる。

トヨタのEV販売台数は前年比4・3倍と伸び率こそ大きいものの、1万4407台にとどまった。前年からほぼ倍増の45万2900台となった独フォルクスワーゲン(VW)との差は大きい。

EV専業の米テスラは半導体不足による減産リスクを回避するため、ソフトウエアの書き換えで代替品を確保するなどの戦略を展開。21年12月期の最終利益は前期の約7・7倍となる55億1900万ドル(約6300億円)となった。

世界販売は量販車「モデル3」が牽引(けんいん)役となり、前期比87・3%増の93万6222台。主要自動車メーカーの仲間入りの目安とされる100万台に近づき、存在感を着実に高めている。

急成長が見込めるEV市場には米大手のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなども新車攻勢をかける。トヨタは30年にEVの世界販売を350万台とする目標を掲げるが、EVではテスラをはじめとするライバルの海外メーカーを追う立場で、欧米勢をどこまで巻き返せるか競争環境は厳しい。

さらに、生産現場では要員や部品の確保に難しいかじ取りが続く。1月は、国内で自社工場だけでなく取引先でもコロナ感染者が確認され、工場の停止が相次ぐ。半導体不足を含めた影響台数は1月だけで9万4千台に膨らむ。

22年度の世界生産は過去最高の約1100万台とする計画だが、達成できるか予断を許さない状況だ。

(宇野貴文)

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