まだ慣れないのだ、成人の日が毎年変わることに。今年は1月10日。私の地元はオンラインでの式典になったらしく、昨年末に実行委員の新成人から「後輩へ贈る言葉」の動画を撮りたいとの依頼を受けた。過去に何度か自治体から成人式での講演依頼があったが、全て断っている。
私の話なんか聞くわけないよ。新成人を責めているわけではなく、久しぶりに集まった大勢の若者に向けて、落語家にちょっといい話をさせようという発想自体がもう時代に合わないんじゃなかろうか。私も見ず知らずの地方の成人式で哀(かな)しい思いをするのは勘弁なので、申し訳ないがこれからもお断りするつもり。
今回の動画撮影は縁あって引き受けたものの、自身は成人式に出ていない。24年前の1月15日は大雪。「めんどくせえ」と地元にも帰らず、酒を吞(の)んでいた。いまだにニュースの「荒れた成人式映像」を肴(さかな)にヘラヘラ酒を吞むのが好きな私は、とても立派な大人とはいえない。とりあえず「なるようにしかならないから、『大人』と『大人になる』ことに期待せず、いまできることを頑張ってね」みたいなところでお茶を濁しておいた。結局、どれくらいの数が見たのかは分からないが、コロナ禍でもなんとか成人式を企画実行する若者には頭が下がる。