米、同盟国重視で対露抑止 東欧に部隊、ガス確保策

【ワシントン=渡辺浩生、大内清】ロシアによるウクライナ侵攻の懸念が強まっている問題で、バイデン米政権は北大西洋条約機構(NATO)の同盟諸国と連携を強めることでロシアを抑止する方針だ。バイデン政権は、米軍の約8500人を欧州に派遣する準備を進める一方、ロシアが欧州向け天然ガス供給を停止することを念頭に、北アフリカやアジアなどの産出国とガス確保に向けた調整を進めている。

バイデン大統領は、欧州への派遣準備に入った米軍の約8500人について「近いうちに一部を送り込むかもしれない」と記者団に述べ、近く派遣の最終判断を下すとの見通しを示した。この部隊派遣は東欧のNATO加盟国を念頭に置いたもので、「米軍、NATO軍をウクライナに派兵するつもりはない」とウクライナに軍事介入する可能性は否定した。

ロシアはウクライナとの国境近くに10万人規模とされる軍部隊を集結させ、ウクライナへの軍事的威嚇を続けている。NATOは東欧諸国への最大4万人の即応部隊派遣を検討しており、米軍部隊はそれに合流するものとみられる。

プーチン露政権は旧ソ連陣営だった東欧諸国の加盟でNATOが「東方拡大」してきたことに強く反発しており、ウクライナに続いて東欧諸国への影響力回復を狙っているとされる。そうした「東部前線」(バイデン氏)へのNATOのプレゼンスを強化し、プーチン政権を牽制(けんせい)する戦略だ。

米軍派遣準備については、ウクライナ情勢をめぐる政権の対応が不十分だと批判してきた保守派からも評価の声が上がっている。

米政府は25日、ウクライナ侵攻が強行された場合には欧州諸国の協力を得て、ロシアに対するハイテク分野の輸出禁止措置や金融制裁を発動する方針だと明らかにした。その際、ロシアが欧州諸国向けの天然ガス供給を停止する報復に出ることが懸念されている。

米シンクタンク、ブルッキングス研究所によると、欧州連合(EU)は天然ガス輸入の4割超をロシアに頼っており、多くはウクライナを通るパイプラインで供給されている。特に脱原発や気候変動対策が進むドイツはロシアへの依存度が50~75%(2021年推計)と高く、このことがウクライナ情勢をめぐる米国との温度差にもつながってきたと指摘される。

米政府高官は25日、中東や北アフリカ、アジア、米国での余剰量調査や一時的な増産に向けた産出国との調整を進めているとし、ガス需要が多い冬季を乗り切ることは可能だと示唆。プーチン政権が天然ガス供給を「(外交駆け引きの)武器に用いたとしても、損害を受けるのは政府歳入の約半分を資源輸出に頼るロシアの方だ」と述べた。

米メディアによると、バイデン氏は月内にも、世界有数の天然ガス産出国である中東カタールのタミム首長とホワイトハウスで会談する見通し。欧州への供給確保に向けた協力を取り付けたい考えとみられる。

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