大学選びの際に、目安の一つとなる大学偏差値。この指標はどうやって決められているのか。
「偏差値は前年度の受験生の頑張りで決まる。大学の持ち物ではないんですよ」
大手予備校の河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員に尋ねるとこう返ってきた。大学偏差値は河合塾をはじめ、各予備校が前年度にその大学を受験した志願者の偏差値から、算出しているものだからだ。
受験生の持ち偏差値の算出方法はご存じの方も多いかもしれないがおさらいしておこう。偏差値は模試を受けた受験生全体を母集団とし、そのなかでの立ち位置を表す数値だ。平均点の偏差値は必ず50となり、点数の差から偏差値が決まる。偏差値60だった場合は上位約16%、40なら上位約84%が目安だ。
偏差値は自らの立ち位置がどのあたりなのかを客観的に把握することができる一方、受ける模試によって結果が大きく変動する。元となる母集団のレベルや規模が変わるためだ。このため、河合塾の模試で出た偏差値を使う場合は、大学の偏差値も河合塾の算定表で確認する必要があるなど、注意してほしい。
大学の偏差値を導き出すには、前年度にその大学を志願した受験生の個人偏差値が関係する。受験生一人一人の個人偏差値と受験結果を受験後にまとめて合否分布を作成。膨大なデータから合格率約50%となる偏差値帯がその大学のボーダーランクとして設定される。
単純化していうと、偏差値50の大学というのは、前年偏差値50の受験生が受験して、合格と不合格が半々だった大学、ということになる。(木ノ下めぐみ)