北朝鮮が巡航ミサイル2発発射か 内陸部飛行 昨年公開の新型の可能性

2021年9月11、12両日に行われた新型長距離巡航ミサイルの発射実験とみられる写真。朝鮮中央通信が9月13日配信した(朝鮮中央通信=共同)
2021年9月11、12両日に行われた新型長距離巡航ミサイルの発射実験とみられる写真。朝鮮中央通信が9月13日配信した(朝鮮中央通信=共同)

【ソウル=桜井紀雄】韓国軍当局者は25日、北朝鮮が同日午前、巡航ミサイル2発を発射した状況を捕捉したと記者団に明らかにした。韓国軍は主に内陸部を飛行したとみて詳しい分析を進めている。北朝鮮によるミサイル発射は今年に入って5回目。「極超音速ミサイル」と称する兵器を含めて弾道ミサイルを既に4回発射している。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、兵器開発に拍車を掛けるよう指示しており、国防分野の5カ年計画に沿って多様なミサイルの開発が進んでいる状況を内外に誇示する狙いとみられる。

北朝鮮は19日の党政治局会議で「米国の敵対行為を制圧できる物理的手段の強化」を掲げ、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の再開を示唆した。相次ぐミサイル発射で軍事的緊張を徐々に高め、バイデン米政権を揺さぶる思惑もありそうだ。

一部韓国メディアは当初、日本海に向けて発射されたと報じたが、韓国軍当局者は相当部分、内陸上空を飛行したと説明した。

巡航ミサイルは一般に弾道ミサイルより威力が劣るが、低高度を持続的に飛ぶため、レーダーでの捕捉が難しいとされる。北朝鮮は昨年9月に新型巡航ミサイルの発射実験を行い、1500キロ飛行したと発表した。巡航ミサイルは国連安全保障理事会の決議違反に当たらないものの、この飛距離なら日本の大半が射程に入り、日本への脅威が一層高まることを意味する。

北朝鮮は昨年10月の兵器展覧会で2種類の新型巡航ミサイルを公開。今回、このうちのいずれかの発射実験を行った可能性がある。

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