主張

子供向けワクチン 接種へ情報提供を丁寧に

厚生労働省が新型コロナウイルスの子供向けワクチンを承認した。これまでワクチンがなかった5~11歳の子供に接種の選択肢ができるのは朗報だ。重症化リスク軽減の効果が期待される。

厚労省は今後、専門分科会に予防接種法上の位置づけなどを諮り、了承を得て3月にも接種を開始する方針だ。

接種機会は希望者全員に確保される見通しである。国と自治体は保護者や子供たちに接種のメリットとデメリットを丁寧に説明し、着実に接種を進めてほしい。

承認されたのは米ファイザー社製のワクチンだ。12歳以上用とは異なり、含まれる成分量は3分の1である。1回目の後、3週間空けて2回目を接種する。

メーカーの臨床試験(治験)では発症予防効果は約90%に上る。オミクロン株の流行前に行われた治験だが、厚労省はオミクロン株にも重症化予防などが期待できると判断した。

新型コロナによる子供の重症例は少ない。このため接種をためらう保護者もいる。

だが、感染者が圧倒的に多い米国では、子供の感染が急増している。日本でも子供の感染例が増えていることは軽視できない。ワクチンという手段を持つことには大きな意義がある。

特に接種による恩恵が期待されるのは、基礎疾患を持つ子供たちだ。コロナに罹(り)患(かん)すると重症化リスクが高い。子供たちと高齢者や乳幼児が同居する家庭にも接種のメリットは大きいだろう。

長引くコロナ禍で子供たちの生活にもさまざまな制約がある。ワクチンを打ち、子供らしい生活をできるだけ取り戻したいと考える保護者もいるに違いない。

納得して判断できるよう、厚労省は効果だけでなく副反応についても分かりやすく情報発信をすることが欠かせない。

米国における接種後の調査によると、副反応のほとんどが軽度から中等度だが、医療ケアが必要になる事例もあった。接種に際しては、かかりつけ医が問診や診察に携わるなど安心できる環境を整えたい。

何よりもワクチンの調達と確実な配布が重要なことは言うまでもない。接種時期が一般の追加接種と重なることも懸念材料だ。自治体と医療機関は確実な接種に細心の注意を払ってもらいたい。

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