米、対露制裁の溝解消に課題 不安要素はドイツ

24日、米ワシントンで、欧州各国の首脳とテレビ電話で会議をするバイデン米大統領(ロイター=共同)
24日、米ワシントンで、欧州各国の首脳とテレビ電話で会議をするバイデン米大統領(ロイター=共同)

米欧首脳らは24日のビデオ会談で、ロシアがウクライナに侵攻した場合に発動する対露制裁の内容などを協議した。バイデン米政権は、北大西洋条約機構(NATO)の不拡大といったロシアの要求に対し週内に文書で立場を明らかにすると約束する半面、有事に備えた制裁準備も進めており、欧州首脳との会談はその調整作業の一環。エネルギー分野で対露依存を深めるドイツなどとのずれを解消できるかはなお不透明だ。

ホワイトハウスによるとビデオ会談にはバイデン氏のほか、NATOのストルテンベルグ事務総長、ジョンソン英首相、マクロン仏大統領、ショルツ独首相、ドラギ伊首相、ポーランドのドゥダ大統領、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、ミシェルEU大統領が参加。ウクライナ有事の際は、ロシアに「深刻な結果と経済的コストを負わせるための準備を進める」などとした。

バイデン政権はウクライナ情勢が緊迫化した当初から、「関係国と緊密に調整しながら対露抑止を進める」との立場を繰り返し強調してきた。だがそれは、米欧が一枚岩ではないことの裏返しでもある。不安要素の一つとみられるのは、ドイツの態度だ。

対露制裁をめぐっては、露銀行に対するドル決済停止や国際決済金融網からの排除などの案が浮上しているが、米国はロシアがウクライナ侵攻に踏み切った場合の有力な制裁案の一つとして、露産天然ガスをドイツに輸送する海底パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働阻止を挙げている。パイプラインはすでに完成し、ドイツ側の稼働承認待ちの状態だ。

ブリンケン米国務長官は20日にベルリンで行われたベーアボック独外相との会談後の共同記者会見で、パイプライン稼働の可否について「ロシアへの有力なレバレッジ(てこ)になる」と語った。だが、記者団からドイツも賛同しているかと問われたベーアボック氏は、一般論として「制裁に意味があるのはそれが効果的な場合だけだ」と述べるにとどめた。

こうしたドイツの消極姿勢の背景には、近年の対露依存の高まりがある。米シンクタンク、ブルッキングス研究所の報告書によると、ドイツの天然ガス輸入に占める露産の割合は50~75%(2021年推計)。米紙ウォールストリート・ジャーナルは24日付で「米国にとってドイツはもはや頼れる同盟国ではない」と論じた。

米国内ではこのところ、ウクライナ情勢について、地理的に近接する欧州諸国ではなく、米国が主体的な役割を担っていることにいらだつ論調も目立ちはじめており、対露共同戦線の構築に向けて細かなすり合わせを重視するバイデン政権の外交スタイルに対する批判の強まりに転化する可能性もある。(ワシントン 大内清)

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