休園最多、1週間で4倍 保育所苦悩 欠勤続く保護者

新型コロナウイルス流行の「第6波」で、陽性者が出た保育所などの休園が相次いでいる。感染力が強く症状が軽いとされるオミクロン株に、保育の現場から「これまで通りの対策では感染拡大は防げない」との声も漏れる。休園している保育所はこの1週間で4倍に急増し、全国で過去最多を更新。子供の世話のために保護者が仕事を休まざるを得ないケースが広がりつつある。(浅上あゆみ、永井大輔)

対策通用せず

都内にある保育所では、約90人の園児のうち少なくとも園児6人の感染が判明し、休園とした。この保育所を含む3つの保育所を運営する社会福祉法人の理事長(54)によると、施設では手洗いやおもちゃの消毒、食事の席でのアクリル板の設置など、基本的な感染対策を徹底、これまでクラスター(感染者集団)が出たことはなかった。

理事長は「デルタ株までは機能していた感染対策がオミクロン株には通用しなかった」と嘆く。

厚生労働省の発表では、コロナで全面休園している認可保育所や認定こども園などが今月20日時点で、少なくとも27都道府県で327カ所と過去最多。前回公表の13日時点は86カ所だったが1週間で4倍近くに増えた。集計の対象は約3万カ所で、認可外保育施設は含まれていないため、さらに影響が出ている可能性もある。

無症状で拡大

国は自治体に対して「原則開所」を要請。だが、休園したり保育士が出勤できなかったりするケースが相次ぎ、横浜市や大阪市などでは、自宅での保育が可能な場合、登園を自粛するよう保護者に協力を依頼している。

保育の現場ではおむつ替えや着替え、抱っこなど、子供と職員の接触は避けることができない。また、窒息死の危険性があることから、国などの方針で2歳未満のマスク着用は推奨されていない。

オミクロン株では感染に気付かず無症状のまま、園内で感染を広げている可能性も指摘される。

東京都足立区にある区立認可保育園「保木間保育園」では、16日に園児1人の陽性が判明。職員や他の園児の検査を進めると、18日までに計14人の感染が発覚した。当初は3日間の休園を予定していたが、続々と感染者が出たことで休園を10日間に延長したという。

仕事への負担に

施設の休園が長引くことは子供を預けられなくなった保護者の就業に大きな影響を与える。なかでもひとり親家庭の負担は大きい。

休園している別の保育園に3歳と6歳の子供を通わせている都内在住の30代シングルマザーは、「10日間の休園は長すぎる。その間ずっと仕事を休まなければならなくなった」と明かす。病児保育を利用しようと市役所に連絡したが病気ではないと受け入れてもらえず、預け先はお金を払ってベビーシッターを利用するしかないといわれたという。

ひとり親を支援する団体「エスクル」の代表理事、今井智洋さん(34)は保育園の休園が続くと、「ひとり親の家庭は特に仕事と子育ての両立が難しくなる。会社員の場合、欠勤が続くと正社員から外されるなどの事態も起こりうる」と懸念する。

公衆衛生学を専門とする国際医療福祉大の和田耕治教授は「感染拡大のピークアウトが見えない中、社会活動を継続するためにも、一斉休園ではなく、クラス単位での休園など小規模に対応していくことが重要」と指摘する。その上で「オミクロン株は潜伏期間が短いことも分かっているので、長くとも5日程度の休園でも十分と思われる」と話した。

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