BBC受信料制度見直し 公共放送の在り方変わるか

12日、英議会で発言するジョンソン首相=ロンドン(ロイター)
12日、英議会で発言するジョンソン首相=ロンドン(ロイター)

【ロンドン=板東和正】英国のジョンソン政権がBBC(英国放送協会)の受信料制度を見直す方針を表明している。視聴状況に応じ、課金する制度を導入する案が浮上している。受信料を収入の柱にする公共放送の在り方が変わる可能性が出てきた。

英国では受信料として、世帯当たり年159ポンド(約2万5千円)の支払いが義務付けられており、違反者には罰金刑を科されることもある。受信料を決める権利を持つ英政府とBBCの取り決めで、現行制度は2027年12月末まで存続が保証されており、ジョンソン政権は28年以降、視聴者からの徴収をやめ、課金制度に移行させる方針とみられる。

ジョンソン政権が受信料制度の見直しを進めようとする背景には、BBCの報道姿勢が与党・保守党の政策に厳しいとの不満がある。受信料の見直しで家庭の負担を軽減できると同時に、コロナ対策下で生じた政権不祥事による支持率低迷の挽回も狙っているとみられる。

一方、受信料制度見直しには批判もある。最大野党・労働党のパウエル〝影の文化相〟は「ジョンソン政権は(BBCを)攻撃しようと必死だ」と揶揄(やゆ)した。

受信料制度が廃止されれば、報道の質の高さや公共性が失われる恐れもある。BBCが19年に得た受信料は約37億ポンドで、収入全体の約76%を占めた。課金制度に移行した場合、動画配信サービスの競争にさらされ、BBCが資金を十分に得られるか不透明。BBCは「(新たな制度では)普遍的な内容でなく、有料加入者向けの(主観的な)内容にせざるを得なくなる、と現行制度の擁護派は懸念している」と述べた。

英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、トラス外相は、中露などによる偽情報に対抗するため、BBCの放送番組に豊富な資金が必要と訴えた。

1922年に設立され、世界の公共放送の先駆者でもあるBBCが受信料を廃止すれば、日本のNHK受信料をめぐる議論に波及する可能性もある。「BBC改革は他国での放送の在り方をも変えかねない」(英国の元下院議員)とみられる。

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