無料PCRに列 検査能力に不安「誰がなってもおかしくない」

新型コロナウイルスのPCR検査で順番を待つ人たち=24日午後、東京都新宿区の「J-VPD東京ラボラトリー」(酒巻俊介撮影)
新型コロナウイルスのPCR検査で順番を待つ人たち=24日午後、東京都新宿区の「J-VPD東京ラボラトリー」(酒巻俊介撮影)

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」感染急拡大で、自治体による無料のPCR検査を希望する人が殺到している。主に感染を不安に思う無症状の人を対象にしたもので、検査場には行列ができ、検査キット不足も懸念されるようになった。感染流行「第6波」を受けて各自治体は大規模な検査体制を整えてきたが、さらなる検査希望者の増加が予想される中、新たな対策が求められている。

東京・新宿区にある無料のPCR検査場「J-VPD東京ラボラトリー」。予約不要の同検査場には24日昼、20人ほどが列を作っていた。

「同僚に体調不良者が出たので、念のため検査を受けにきた」。練馬区の女性会社員(25)はこう話し、「知り合いでも感染した人が出てきている。誰がかかってもおかしくない」と不安そうな表情を見せた。ほかの検査場も空きがないか調べたが、予約は満員の状態だったという。

職場で感染者が出たという新宿区の男性会社員(24)は「数日前にも検査に来て陰性だったが、潜伏期間もあるので確認のために来た」と語った。

同検査場は平日と土曜日は午後4時までに検査を受ければ、当日中に結果が分かるシステム。山田哲児社長によると、検査場が開く午前10時前にはすでに行列ができていることがあるという。

大阪市北区のPCR検査場前でも24日、長蛇の列ができ、「これほど待つのはテーマパークのアトラクション以来だ」(大阪市西淀川区の男性)との声も聞かれた。大阪市では当初の予定より1日遅れて検査結果が届くケースもあり、市内の女性会社員(44)は「結果判明まで子供が登校できなかった」と話した。

検査需要への対応は喫緊の課題で、府の担当者は「事業者から検査キットが不足しているとの声があり、国に要望している」と明かした。

東京都では、濃厚接触の有無にかかわらず受けられる無料検査を269カ所で実施。1日3万件の検査を可能とする計画だが、現場の人繰りなどで下回っているのが実態で、予約が取りにくい状態だという。都の担当者は「会場を増やしたり、検査数も可能な限り上積みしたい」としている。

政府は1日で最大約38万件のPCR検査ができるとしているが、19日には20万人を超えた。社会経済活動の維持に向け検査体制の拡充を掲げるが、能力は限界に迫りつつある。

新型コロナ対策を政府に助言する専門家有志も、当初、重症化リスクが比較的低い若年層について、「検査を実施せず、臨床症状のみで診断を行うことを検討する必要がある」との提言案を示し、波紋を呼んだ。

久留米大学の溝口充志(あつし)主任教授(免疫学)は、医療機関などの業務が逼迫(ひっぱく)しているとした上で、「厳密に実態を把握するためには若年層の検査を継続する選択肢もあるが、季節性インフルエンザ同様に、重症化する可能性がある人や高熱などの重い症状がある人には検査を行い、そうでない人には診断だけで対応する方法も検討すべきだ」と指摘した。

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