主張

東証の市場再編 投資呼び込む魅力高めよ

これで国内外からの投資を呼び込めるのか。東京証券取引所による4月の市場再編について、そんな懸念が拭えない。

東証1部、2部などの区分を廃し、新たに「プライム」など3つの市場区分を設ける。この改革に向けて、東証が全銘柄の移行先を公表した。

それによると、1部上場企業の84%が最上位のプライムに移る。つまり、新旧の顔ぶれには大きな変化がみられない。

現在の1部には全上場企業の6割が集中し、大小さまざまな企業が混在する。その分かりにくさをなくすため、プライムは、ガバナンス(企業統治)などの水準が高いグローバル企業向けとした。当然、企業数も絞り込まれるはずなのに、いかにも不十分である。

海外取引所との競争で東証の存在感は低下した。再編を反転の好機とすべきなのに、これでは骨抜きにならないか。さらなる改革で市場の魅力を高めるべきだ。

プライムのほか、国内事業中心の企業向けの「スタンダード」と新興企業向けの「グロース」がある。プライムは、流通株の時価総額を100億円以上とするなど1部より厳しい基準を設けた。

ただ、基準を満たしていなくても、適合に向けた計画書を出せばプライムに移行できる経過措置がある。プライムの1841社のうち経過措置利用は296社だ。これでは企業数も絞り込めない。

問題は経過措置をいつまで認めるかが決まっていないことだ。中には基準適合まで10年かかるとする企業もある。一定の経過措置はやむを得ないとしても、だらだらと続けるわけにはいかない。

東証は、早期の経過措置撤廃を念頭に終了時期を示すべきだ。併せて時価総額100億円以上とする上場維持の基準を引き上げることなども検討する必要がある。

市場活性化に向けた上場企業の責任も大きい。企業がプライムにこだわる背景には、最上位のブランド力が人材確保などを優位にする効果への期待もあるだろう。ただ、上場の本来の目的は、そこで調達した資金を事業に役立てて成長につなげることである。

その期待を持てるかどうかが投資家の判断を左右する。高収益をあげても内部留保をため込むばかりという企業も多い。それでは市場活性化など望むべくもない。再編を機に、企業にとっての上場の意義も改めて見つめ直したい。

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