中国の習近平政権による台湾への軍事圧力、巨大経済圏構想「一帯一路」などの対外膨張政策、チベットや新疆(しんきょう)ウイグル自治区、香港での人権侵害がエスカレートする中、自民党内で、防衛費の国内総生産(GDP)比1%枠を見直す声が出ている。だが、令和4年度政府予算案では0・95%となる見通しだ。岸田文雄政権は1%の呪縛を断つ決意があるのだろうか。
グラフでは、日本と中国のGDPと防衛費の推移(ドルベース)を比較した。1995(平成7)年以降、日本のGDPと防衛費がともに低落傾向をたどっているのとは対照的に、中国の防衛費とGDPは同時並行して上昇し続けている。中国のデータに目をこらすと、2000年代前半を助走に同年代後半から防衛費、GDPとも離陸して上昇軌道に乗り、さらに2段式ロケットのように08年、09年から上昇に加速がかかった。しかも、防衛費の増長速度は高成長のGDPをはるかに上回る。
日本の防衛費停滞の元凶は1990年代後半からのデフレ容認政策とGDP比1%枠である。GDPの萎縮病は、平成バブル崩壊の処理の立ち遅れに伴う不況に端を発し、97年度の消費税増税を含む緊縮財政によってこじれ、慢性化し、現在に至る。