コロナ対策、専門家迷走 蔓延防止で知事間温度差

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」への対応をめぐり、専門家らの間で議論が迷走している。また、多くの知事が緊急事態宣言に準じた措置が可能となる「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用を求めて政府に駆け込む一方、複数の知事は重点措置の効果に疑義を唱えている。政府は要請待ちの姿勢に終始し、対策は手詰まり感が漂う。

基本的対処方針分科会の尾身茂会長ら専門家有志が21日にまとめた提言について、当初案にあった若年層に関する「検査を実施せず、臨床症状のみで診断を行うことを検討する必要がある」との文言が削除されたことは、政策の方向性を定め切れずにいることを象徴している。

当初案は事前に漏れ、東京都の小池百合子知事は21日の記者会見で「検査を確実にできる体制を整えることが必要」と反論するなど波紋を呼んだ。当初「検査せず」としていたのは、感染拡大に歯止めがかからず、迅速に感染の有無を調べる抗原検査キットが全国的に品薄状態になる中、限られた医療資源を重症化リスクの高い高齢者に回すための苦肉の策だった。

だが、検査の徹底を呼び掛けてきた政府方針とは異なる。しかも、検査しないことで重症化率などのデータを正確な形ではじき出すことは困難になり、濃厚接触者かどうかも分からなくなる。田村憲久前厚生労働相は23日のフジテレビ番組で「若い人も含めて検査をやり続けたほうがいい。検査せずに症状だけで判断できない」と語った。

混乱はこれだけではない。尾身氏が19日に記者団に「人流抑制より人数制限」と発言したのに対し、全国知事会長の平井伸治鳥取県知事は「会食の人数制限さえしっかりすれば出歩いてもいいという趣旨に聞こえる」と述べ、感染対策が緩みかねないと懸念を示した。

結局、専門家の提言には効果的な対策について「人流抑制という方法もあるが、人数制限が適している」と明記する一方、「知事の判断により人流抑制を加味することもあり得る」という文章が加わり、玉虫色の内容となった。

コロナ対策をめぐっては知事の間でも考え方に隔たりがある。愛媛県の中村時広知事は「オミクロン株は飲食を抑えても感染防止につながらない」と指摘。奈良県の荒井正吾知事は「医療が圧迫されるから飲食店を時短するというロジックがよくわからない。飲食店が時短すると病床率は少なくなるんですか」と言ってはばからない。

重症化率が低く、感染力は高いとされるオミクロン株の性質にどう向き合うべきか-。感染急拡大が止まらない中、対策は手探りの状態が続いている。(今仲信博)

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