名護市長選、自公系現職が再選確実 岸田政権、参院選へ弾み

沖縄県名護市長選で再選を決め、万歳する渡具知武豊氏(中央)=23日夜
沖縄県名護市長選で再選を決め、万歳する渡具知武豊氏(中央)=23日夜

任期満了に伴う沖縄県名護市長選が23日投開票され、無所属現職の渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏(60)=自民、公明推薦=が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する元市議で無所属新人の岸本洋平氏(49)=立民、共産、れいわ、社民、地域政党・沖縄社大推薦=を破り、再選を確実にした。自公が推す現職の勝利で夏に参院選を控える岸田文雄政権への追い風となる。

投票率は68・32%で過去最低。平成30年の前回選を8・60ポイント下回った。

市長選は沖縄で重要選挙が続く「選挙イヤー」の初戦。玉城デニー知事は岸本氏を支持し、秋の知事選にも影響を及ぼしそうだ。ただ、自民は知事選や参院選の候補者を決めておらず、今回の結果を受け準備を急ぐ。玉城氏と共産、立民両党など「オール沖縄」勢力は戦略の転換を迫られる。

選挙戦で渡具知氏側は辺野古移設問題には触れず、子供医療費の無償化など4年間の実績を強調した。コミュニティーバスの導入など新たな生活支援策も訴えた。

一方、岸本氏側は移設反対を前面に出し、玉城氏もしばしば街頭に立って「辺野古に新基地はつくらせない」などと訴えた。ただ、移設問題以外は両陣営の政策に大きな違いはなく、実現力が問われる結果となった。

県内で昨年末以降、新型コロナウイルスの感染が急拡大したことも影響を与えたようだ。両陣営とも大規模な集会が開けず、SNS(会員制交流サイト)や街頭演説で政策を訴えるなど異例の選挙戦となった。

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