主張

国交省の統計不正 信用裏切った罪は大きい

国土交通省が建設工事受注動態統計のデータを改竄(かいざん)していた問題で、第三者委員会が調査結果をまとめた。

受注額を大きく見せかけるなどの意図は確認できなかったが、書き換えなどの改竄は旧建設省時代の20年以上前から始まっていた。不正の発覚を防ごうとした隠蔽(いんぺい)と疑われる行為もあり、「幹部職員が責任追及を恐れて問題を先送りしてきた」と批判した。

浮かび上がるのは統計を軽視する国交省の姿勢だ。前例踏襲でデータの書き換えを続け、部下が不正だと指摘しても、事なかれ主義の上司は問題を正そうとしなかった。国民を裏切る無責任体質にあきれるばかりだ。

岸田文雄首相は第三者委の報告書を受け、統計業務のデジタル化などの改善に取り組む方針を示したが、政府統計の再点検を急ぎ、再発防止の徹底が欠かせない。

国交省は建設統計をめぐって都道府県の担当者に対し、業者が遅れて提出した調査票の受注データは最新月の分として書き換えさせていた。その後、調査票が未提出だった月は推計値で対応するようになったが、データ改竄も続けたため、受注額が二重計上され、国内総生産(GDP)もかさ上げされる結果になった。

第三者委は歴代担当者から聴取したものの、改竄の開始時期などは明らかにできなかった。担当者は従前からの引き継ぎだとして書き換えを続け、改竄とは認識していなかったという。政策立案の基礎となる政府統計に対する信用を損ねた罪は大きい。

厚生労働省の毎月勤労統計の不正を受け、政府が統計を総点検した際、国交省の担当者は不適切集計を報告すべきだと提案したが、当時の上司は否定的だった。その後の会計検査院の調査で不正が発覚したが、責任追及を避けるため、総務省にデータの二重計上を報告しなかったのも問題だ。

今回の不正は元データが改竄されており、正確な修正は困難だ。悪質性は極めて高く、厳正な処分は不可欠である。

報告書は不正を招いた一因として、統計に関する専門人材の深刻な不足も挙げた。政府の統計職員はこの10年で大きく減少し、一部の職員が過度な業務を負担させられている。政府は統計作成の環境も整備し、行政に対する信頼を取り戻す必要がある。

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