主張

中国の北朝鮮擁護 暴走の利用は許されない

北朝鮮が今年に入って弾道ミサイル発射を繰り返している。5日以降の2週間で計4回だ。常軌を逸した頻度である。

日本の航空機や船舶にとっては危険極まりない状況だ。当然、やめさせなくてはならない。

だが、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、世界の大半の国々から非難され、制止を求められても、これに一切耳を貸そうとしない。

北朝鮮が弾道ミサイル発射に没頭できるのはなぜか。最大の要因が、中国という後ろ盾が存在することなのは間違いなかろう。

耳を疑うのは、北朝鮮の暴挙に国際社会の厳しい目が注がれているさなかに、鉄路による中朝貿易が再開したことである。16日、北朝鮮側から空の貨物列車が鴨緑江を越えて中国に入り、翌日、物資を載せて戻った。

中朝貿易は、国連安全保障理事会が北朝鮮の核・ミサイル開発に関して採択した制裁決議などを受けて2018年に大きく落ち込んだ。20年夏以降は、北朝鮮が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて陸路の国境を閉じていた。

その封鎖が1年半ぶりに解かれたのである。中国政府は、コロナ禍でも中朝貿易の正常化を目指すといい、経済・貿易面で中朝間の関係が強まる可能性もある。

さまざまな形での中国からの擁護に意を強くした北朝鮮が、弾道ミサイル発射の暴走をやめないのならば問題の根は深い。国際社会は警戒を強めるべきである。

北朝鮮擁護で中国が意図するところは、米国主導の国際秩序への挑戦である。弾道ミサイル発射は明確な安保理決議違反であり、本来なら制裁の強化で応じるのが筋だ。安保理の5大国として、中国にはそのための重い責任があることはもちろんである。

ところが、10日の安保理会合では、中国や、これに同調するロシアの同意が得られなかったため非難声明すら発表できなかった。

中国の外務省報道官は「過激な反応をすべきではない」などとしている。米国は単独でミサイル開発に携わるなどした個人などに制裁を科したが、中国はこれについても「何かにつけて制裁に訴えることは、対立感情をエスカレートさせるだけだ」と批判した。

中国が北朝鮮の暴走を対米カードに利用したいのならば、もってのほかである。日本はこれを断じて許してはならない。

会員限定記事会員サービス詳細