【ワシントン=大内清、塩原永久】バイデン米大統領は19日、就任から20日で1年となるのを前にホワイトハウスで記者会見し、緊迫化するウクライナ情勢について、プーチン露大統領がウクライナ侵攻に踏み切るだろうとの見方を示した。その上で、侵攻すれば「深刻な代償を払って後悔することになる」と警告。「(ロシアの)銀行はドル取引ができなくなる」とも述べ、軍事侵攻に対しては強力な経済制裁を発動する構えを示した。
バイデン氏は、ウクライナ防衛をめぐりプーチン氏が「米国と北大西洋条約機構(NATO)を試そうとしている」と指摘し、「私の推測ではプーチン氏は侵攻すると思う」と語った。一方で、ウクライナ国境付近に集結している10万人規模の露軍の動きは「プーチン氏1人の決定次第だ」とし、侵攻の最終決断は「下されていないだろう。全面戦争は望んでいないはずだ」とも述べ、首脳会談の可能性を含めた外交的協議による危機回避を図る考えを強調した。
また、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」を「新たな敵」と呼び、克服への決意を表明。簡易検査キットを各家庭に無償配布したり、無料の検査所を多数開設したりして、経済・社会活動を維持しながら感染症対策を進める方針を示した。
バイデン氏は冒頭、「記録的な雇用創出を成し遂げた」などと米景気回復の成果を誇ったが、約40年ぶりの高水準となった物価上昇については「制御する必要がある」と述べて懸念を表明。インフレ抑制に向けた取り組みを急ぐ意向を強調した。
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は過熱気味の景気を押さえるため、3月にも事実上のゼロ金利政策を解除し、年内に計3回の利上げを実施する見通しを示している。
与党民主党内の不一致で暗礁に乗り上げている総額1兆7500億ドル(約200兆円)規模の大型歳出法案に関しては、「おそらく分割しなければならないだろう」と述べ、法案の実現に向けて与党内で再調整していく意向を示した。
公約に掲げた国民の団結については「本来あるべき姿にはほど遠い」としつつも、「だが私は闘う」と語り、実現へ取り組み続ける考えを示した。