自民党内「高市包囲網」克服なるか 発信を強化

官邸に入る自民党・高市早苗政調会長=令和3年12月14日、首相官邸(矢島康弘撮影)
官邸に入る自民党・高市早苗政調会長=令和3年12月14日、首相官邸(矢島康弘撮影)

自民党総裁選に再出馬を目指す高市早苗政調会長が発信を強化している。定例の記者会見を始めたほか、中国政府による人権侵害行為を非難する国会決議の早期採択を求めるなど「高市カラー」を打ち出し、地方出張も本格化させて知名度アップを急ぐ。党内では、高市氏を重要政策の決定から外すような動きもあるが、岩盤保守層からの強固な支持を持つ強みを生かし、「ポスト岸田」に向けて求心力を高められるかが今後のカギとなる。(広池慶一)

「力を合わせて政府と連携し、頑張ってまいりましょう」。高市氏は20日、自身が本部長を務める党経済安全保障対策本部でこう述べ、政府が今国会に提出する経済安全保障推進法案の成立に力を注ぐ考えを示した。高市氏は早くから中国への機密情報などの流出に危機感を持ち、経済安保政策の必要性を訴えてきた。

19日に始まった高市氏の定例会見では、文化審議会が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の推薦候補に選んだ「佐渡島の金山」について、「日本の名誉に関わる問題だ」と強調し、推薦に消極的な政府に注文をつけた。

今後は地方出張も増やす。新型コロナウイルスの感染状況を踏まえつつ、22日は富山県と石川県、月末には高知県を訪れる予定だ。夏の参院選を見据え、党の顔として自民支持層のテコ入れを図る。

高市氏がアピールに乗り出す背景には、党内で潜在的に進む「高市包囲網」がある。

党では18日、皇族数の確保策に関する議論に向けた懇談会(座長・麻生太郎副総裁)の座長代理に茂木敏充幹事長が就任した。平成29年の天皇陛下の譲位に関する国会見解は副総裁─政調会長ラインで取りまとめており、今回高市氏は外された形だ。

コロナ対策の柱である18歳以下への10万円相当の給付でも与党間協議は茂木氏が担った。

対中国非難決議をめぐっても、高市氏は先の臨時国会で茂木氏に採択を直談判したが「タイミングの問題だ」と却下された。高市氏の動きには、党執行部の一員にも関わらず「倒閣運動だ」(党幹部)との批判もあがった。

高市氏は14日、「ほぼ没交流」(官邸筋)といわれる岸田文雄首相(党総裁)と会食し、友好ムードを演出した。だが、定期的に会談する首相と麻生氏、茂木氏の3氏とは依然、距離がある。高市氏周辺は「高市氏を封じ込めようとする意図は明らかだ」と語る。

高市氏は過去に旧町村派(清和政策研究会=今の安倍派)を離脱した経緯があるが、安倍晋三元首相が同派の会長に就任した後も派閥復帰のめどは立っていない。「ポスト岸田」を目指す高市氏にとって、党内で仲間づくりを進めることも喫緊の課題となっている。

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