パリの窓

最後の晩餐

フランスは18日、新型コロナウイルスの新規感染者が46万人を超えた。最近の勢いはすさまじい。

わが支局の助手は年末、3度目の接種直後に「検査したら陽性だった」と暗い声で電話してきた。年明けにはインタビューの相手から「コロナにかかった。延期して」と連絡が来る。私も「もう逃れられない。かかるのは時間の問題」と覚悟を決めた。早めに冬のバーゲンに行っておかねば。

先週末、友人に「最後の晩餐(ばんさん)に付き合って」と言われ、モンマルトルの丘のビストロに行った。彼は死の病にかかっているわけではない。コロナ対策で近く、飲食店でワクチン接種証明の提示が義務付けられるので、その前にごちそうを食べたいというのだ。反ワクチン派とは知らなかった。これまでは、陰性証明を持っていれば自由に移動できたから、気づかなかった。

「観念して接種したら」と言うと、「オミクロンは接種してもかかる。無駄だ」と譲らない。それでも丘からパリの灯を眺め、「当面、飲みに行けなくなる」と寂しそうだった。「自業自得よ」と言おうとして、やめた。ワクチン是非論などで友を失いたくない。おごってもらったし。

保健相は「今回が最後の波」と予測した。本当かしらと思いつつ、そうあってほしいと願っている。

(三井美奈)

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