学校へ行けず、自宅に引きこもりがちな子供たちがオンライン上の仮想空間での交流を通じて作った物語が小さな絵本になった。主人公は、外に出るのを怖がるカエルの子。不登校の自分たちを重ねて物語を紡ぐうち、外に出られるようになった子供もいる。「どんなに苦しくても、外にはきれいな世界が広がっている」と、つらい気持ちを抱える子供たちを勇気づけたいという。
タイトルは、『かえるのきらりちゃん』。手帳サイズ、10ページの小さな絵本だ。大阪府八尾市のフリースクール「輝(かがやき)」が昨秋開設したインターネット上の仮想空間「かがやきの森」を利用している大阪府内と高松市在住の不登校の中学生5人が作り上げた。
令和元年9月にオープンした「輝」には現在、19人の子供たちが通うが、家から出ることもできない子供も多いことから、運営するNPO法人が「森」を開設。週3日、1時間ずつ利用でき、ニックネームをつけた自分の分身(アバター)を作成して入室。ボイスチャット機能で他の参加者やスタッフと交流する。顔を出すかどうかは自由で、現在は6人の中学生が利用しているという。
絵本を作った5人はいずれも、「森」の開設から間もなく参加。うち、高松市の中学2年男子の「かず」(14)は小学2年生のとき、集団で過ごす教室が怖くなり不登校に。ここ数年はほとんど自宅から出られずにいた。