シリコン量子コンピューター実現に前進 計算操作の高精度化に成功

シリコンを使った量子コンピューターの実現に向け、計算に必要な基本操作を高精度に実施することに成功したと理化学研究所などの国際共同研究チームが発表した。英科学誌ネイチャーに20日、論文が掲載された。量子コンピューターは超電導やイオンを使った方式の研究開発が先行しているが、シリコン方式も実用化において有力候補であることを示す成果だ。

スーパーコンピューターをはるかにしのぐ大規模計算ができると期待される量子コンピューターだが、熱などの外部からの影響で計算にエラーが生じやすい性質がある。このためエラーを訂正する回路が必要だが、この回路では計算情報を扱う基本単位である「量子ビット」の操作を高精度に行うことが求められる。

これまでの研究では、超電導とイオンだけがエラー訂正に十分な精度で量子ビットの操作ができる方式として報告されていたが、チームはシリコン方式でも可能であることを実証した。

実用化に向けて最も進んでいるとされる超電導方式は、米国のグーグルやIBMなどの企業が本格参入したことで研究開発が一気に進んだ。理化学研究所の野入亮人(あきと)基礎科学特別研究員は「(今回の成果で)シリコン方式も企業に参入してもらう意義があることを示せた。今後、産業界もシリコン方式に力を入れてくると期待される」と話し、企業の取り組みが研究を加速すると期待を寄せた。

シリコン方式は、既存産業の半導体技術と親和性が高く、基本部品を他の方式より高密度で集積化できるとの期待もある。量子ビットが外部からの乱れに影響を受けずに計算情報を保持できる「コヒーレンス時間」が他方式より長いという長所もある。

今回の成果のように、計算操作の技術の研究開発が進めば、他の方式を一気に巻き返す可能性もある。

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