①前編から続く ノーベル賞・益川さんの妻「あの人らしい最期でした」
昨年7月、自宅で81歳の生涯を閉じた夫を看取ったのは、半世紀にわたり連れ添った妻だった。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんの妻、明子さん(78)が半年間の闘病生活を振り返った言葉からは、家族に愛されながら一途(いちず)に学問を追究してきた物理学者の幸福な姿が浮かび上がった。(太字は明子さんの述懐)
人間らしく生を全うする、そう思っていたはず
《がんの宣告を受けたのは一昨年12月》
夫は、「しゃあないやんか」と言われたとおりにするという感じでした。手術は大掛かりで寝たきりになってしまうとのことで、放射線治療を選びました。
これまでも入院したことがあり、病室から抜け出して一人で帰ってきたことも。口には出さなかったですが、いろいろな人が病室に出入りするのは嫌だったのでしょう。だから、絶対に自宅で治療する方がいいと私は思っていました。