社説検証

日米2プラス2 朝日は「軍事偏重に不安」 産読「中国に対抗を評価」

テレビ会議形式で開催された日米2プラス2。左上はブリンケン国務長官、右上はオースティン国防長官、左下は林芳正外相、右下は岸信夫防衛相=7日(外務省提供)
テレビ会議形式で開催された日米2プラス2。左上はブリンケン国務長官、右上はオースティン国防長官、左下は林芳正外相、右下は岸信夫防衛相=7日(外務省提供)

岸田文雄政権発足後初めてとなる日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は、同盟強化によって、「力による現状変更」を企てる中国に対抗する意思を明確に示した。産経や読売がこれを評価し、対中抑止力、対処力を具体的に強化していくよう求めたのに対し、朝日は、中国を刺激し、緊張を高めると不安を表明した。

テレビ会議形式で開催され、共同発表の文書を発出した。中国に対しては、昨年3月の前回の共同発表で、「国際秩序と合致しない行動」を批判し、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に深刻な懸念を表明するなど、厳しい姿勢を際立たせた。さらに「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記した。

今回は、こうした認識を踏襲した上で、同盟としていかに向き合うかで一歩踏み込んだ。

産経は、「注目すべきは、日米が共同発表で、中国を念頭に『地域における安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力する』と宣言したことだ。日米が安全保障戦略を『完全に整合』させ、『共に目標を優先づけていく』とした点も重要だ」と指摘した。さらに自由、民主主義などの価値を共有する「全ての主体」と協力するとあるのは、「国家承認していない台湾との協力があり得ると読める」とし、「自由と民主主義の台湾を中国が軍事的に併吞(へいどん)しようとすれば、日米が外交・軍事両面で対抗する姿勢を示したということだ」と説いた。

日本側はミサイルの脅威に対処するため敵基地攻撃能力保有を含め、あらゆる選択肢を検討すると伝えた。昨年3月に続き、「国家の防衛」と「地域の平和と安定」の2つの目的のために防衛力を抜本的に強化する決意を示した。読売は「日米同盟を一層強化するため、日本自身がより大きな役割を果たす必要がある」とし、「中露や北朝鮮が開発・配備を進める極超音速兵器や変則的な軌道で飛ぶ新型ミサイルは、現在のミサイル防衛体制で迎撃することは難しい。日米も、先端技術を装備に取り入れ、対処力を抜本的に向上させていくことが急務だ」と訴えた。

一方、朝日は「地域の平和と安定を脅かすような行動を、中国に思いとどまらせるための備えが必要」と最初に断った上で、「だとしても、軍事偏重ではかえって緊張を高め、不測の事態を招く可能性も否定できない。粘り強い対話の努力を忘れず、共存をめざす姿勢を明確にすべきだ」と批判的に捉えた。そして、「中国の挑戦を力で封じようとすることが、対抗措置のエスカレートを招かないか、不安は拭えない」と嘆じた。

毎日は、「米国も一国だけでは中国に対抗できない。人権や法の支配などの価値観を共有する同盟国、友好国との連携強化を図っている」とし、日本側の敵基地攻撃能力の保有検討の伝達について、「専守防衛の原則を踏まえ、慎重に検討すべきだ。国民の理解を欠いたまま、なし崩しで進めてはならない」と注文を付けた。

日米2プラス2開催前日の6日、岸田首相とオーストラリアのモリソン首相とのテレビ会議形式の首脳会談があり、日経は首脳、閣僚による2つの外交行事をあわせ、中国をにらんだ米豪との連携について論じた。「日米同盟の強化に加え、多国間協力の重要性も増している。自由や民主主義を重んじる日米豪の基盤をまず固めてこそ、インドを加えたQuad(クアッド)の枠組みが機能しやすくなる」と強調した。

北朝鮮は年明け早々、国際社会の制止を無視し、日本海に向け、弾道ミサイル発射を繰り返した。日本をめぐる安全保障環境は目に見えて悪化している。防衛体制の整備は急務である。(内畠嗣雅)

■日米2プラス2をめぐる主な社説

【産経】

・同盟の強化で平和を守れ (9日付)

【朝日】

・備えの先 共存の道探れ (8日付)

【毎日】

・地域安定に資する戦略を (9日付)

【読売】

・同盟強化の具体策を進めよ (8日付)

【日経】

・日米豪連携を密に対中戦略の強化急げ (9日付)

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