浪速風

小説顔負けのスパイ疑惑

元英国諜報員にしてスパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレ(1931~2020年)の作品を楽しむには、少し忍耐が必要だ。敵の組織を欺くため地道に準備する様子が淡々と描かれ、読者はしばらくの間、どこに行き着くのか見当がつかないまま物語を追うことになる。そして作戦が動き出すと、ページを繰る手が止まらなくなる

▶小説の読み過ぎだろうか。英議会に入り込んだ中国のスパイを、英情報局保安部(MI5)が長期にわたる調査の末にあぶりだした、とのニュースには、妙に納得させられた。ル・カレの描くような諜報戦はやはり実際にあるのだろう、と

▶スパイだと名指しされたのは女性弁護士。多額の献金を通じて下院議員に近づき、政策に影響を及ぼそうとしたという。中国側は当然ながら否定しているが、果たして…。ル・カレの小説では、人間の抱える弱さがスパイ活動の破綻を招いていた。今回もそんな穴が見つかったのかもしれない。

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