【ワシントン=大内清】ブリンケン米国務長官は18日、緊迫化するウクライナ情勢をめぐってロシアのラブロフ外相と電話会談し、21日にスイス・ジュネーブで対面による会談を行うことで合意した。ウクライナ国境付近に兵力を集結させるロシアが強気の姿勢を崩さない中、バイデン政権は外交的なチャンネルを維持することで緊張緩和の糸口を探りたい考えだ。
米国務省によると、ブリンケン氏とラブロフ氏は電話会談で、10日に開催された高官級による米露の「戦略的安定対話」、12日に行われた「北大西洋条約機構(NATO)ロシア理事会」、13日の欧州安全保障協力機構(OSCE)の3つの枠組みによる一連の外交努力の成果について協議。ブリンケン氏が18~20日の日程でウクライナの首都キエフとドイツの首都ベルリンを歴訪するのに合わせ、ジュネーブで対面による会談の場を持つことで一致した。
ブリンケン氏は19日にウクライナのゼレンスキー大統領、クレバ外相とそれぞれ会談。20日にはドイツのベーアボック外相と会談する。
ウクライナ情勢をめぐりロシアは、NATOをこれ以上東方に拡大させないことなどを盛り込んだ条約案を突きつけ、早期の妥結を米国に求めている。これに対してバイデン政権は、当事国のウクライナやNATO諸国との足並みをそろえることを重視し、協議に時間をかける姿勢を崩していない。
ラブロフ氏は最近、「外交は行き詰まった」と発言しバイデン政権を牽制(けんせい)したが、国務省高官は18日、「対面会談が行われることは、外交がまだ生きていることを示している」と述べ、対話による緊張緩和は依然として可能だとの認識を示した。