首相、野党に隙与えず 国会論戦スタート

衆院本会議の代表質問で答弁する岸田首相=19日午後
衆院本会議の代表質問で答弁する岸田首相=19日午後

岸田文雄首相にとって通常国会での初の論戦が19日、始まった。夏の参院選を乗り切れば長期政権が現実味を帯びることもあり、安全運転の姿勢に撤する構えだ。足元では新型コロナウイルスの感染急拡大という政権発足以来の難所を迎えるが、現在のところ「先手の対応」(首相)が世論からも一定の支持を受け、野党に付け入る隙を与えていない。

「現下の危機対応を行いつつ、これまでの対応を客観的に検証するためには必要な期間だ」

首相は同日の衆院代表質問で、立憲民主党の泉健太代表が「新型コロナ対策に関する政府方針の取りまとめが6月では遅すぎる」と批判したのに対し、こう反論した。その上で、ワクチン3回目接種の前倒しをはじめとする施策に全力を挙げる考えを改めて示した。

政府の落ち度である国土交通省の建設工事受注動態統計の書き換え問題については「国民の皆さまにおわびを申し上げる」と重ねて陳謝。関係者の処分や国交省以外の公的統計の点検にも踏み込み、問題改善に向けた姿勢を強調した。

首相は憲法改正や敵基地攻撃能力、国会議員に月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費」(文通費)などでも、従来の政府方針を説明するなど無難な答弁を重ねた。

夏の参院選をにらみ、首相は野党との争点や火種を先んじて回避し、野党の追及を封じ込める戦略を描く。政府は新型コロナ対策の強化に向けた感染症法改正案や、外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案などの今国会提出を先送りした。自民党中堅議員は「参院選を終えるまではとにかく丁寧と対立回避ということだろう。野党はやりにくいはずだ」と語る。

代表質問に立った立民の小川淳也政調会長は業を煮やしたように「一見丁寧、謙虚、柔軟であっても、裏を返せば確固たる信念に欠けた朝令暮改だ」となじったが、これも不発に終わった。首相は「方針変更すべきだと判断すれば政治として思い切ってかじを切ることもある。大切なのは国民にとって最善の対応をとることだ」と受け流した。(石鍋圭)

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