北川信行の蹴球ノート

イニエスタ、サッカー選手銅像文化の先駆けとなるか

ヴィッセル神戸が銅像建立プロジェクトを立ち上げる元スペイン代表のスーパースター、イニエスタ(左)
ヴィッセル神戸が銅像建立プロジェクトを立ち上げる元スペイン代表のスーパースター、イニエスタ(左)

サッカーの日本伝来には諸説あるが、有力なのは横浜説と神戸説である。どちらも世界に開かれた港町で、来日した外国人によって最初の試合が行われたとされる。これらの「サッカー伝来の地」は将来的に「サッカーの聖地」となる可能性を秘めた候補地である。今回、Jリーグのヴィッセル神戸が立ち上げる予定だったプロジェクトが成功していれば、もしかしたら、神戸が世界へのアピール度の点で、頭一つ抜け出していたかもしれない。

ヴィッセル神戸は17日、クラウドファンディング(CF)を使って広く資金を集め、クラブに所属する元スペイン代表のスーパースター、アンドレス・イニエスタ選手の銅像を本拠地であるノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)の正面玄関前に建立するプロジェクトを始めると発表した。題して「みんなでノエスタを日本の聖地に-イニエスタ銅像プロジェクト」。銅像建立のほか、スタジアムに隣接する御崎公園内に遊具を寄贈し、イニエスタキッズエリアも開設する予定だった。ところが、わずか1日後の18日に「本日開始予定であったクラウドファンディング『みんなでノエスタを日本の聖地に』企画について、色々なご意見を尊重し、一旦、延期とさせていただきたいと思います」と見送る決定を下した。個人的には、残念である。

イニエスタ銅像プロジェクトの募集イメージ(C)VISSEL KOBE
イニエスタ銅像プロジェクトの募集イメージ(C)VISSEL KOBE

当初の予定では、CFの実施期間は1月18日~2月28日で、目標金額は銅像が1500万円、キッズエリアが3千万円。銅像のポーズは、支援した人の投票で決める計画だった。返礼品の種類は次の通り。

①PlanA=除幕式参加権「イニエスタ銅像建立の証人に」(金額110万円、目標人数20人)銅像設置時の除幕式への参加権、サイン入り2ショット写真など

②PlanB=メモリアルウォッチ「イニエスタ選手監修の腕時計」(金額50万円、目標人数79人)イニエスタ選手監修オリジナル腕時計(シリアルナンバー入り)など

③PlanC=除幕式プロデュース権「銅像除幕式イベントの企画運営」(金額11万円、目標人数10人)除幕式プロデュース参加権、銅像前のプレートに刻銘など

④PlanD=銅像プレート刻銘権「銅像台座に刻銘」(金額5万円、目標人数100人)銅像前のプレートに刻銘、銅像デザインボブルヘッド、サンクスムービーなど

⑤PlanE=イニエスタボブルヘッド「銅像イメージのボブルヘッド」(金額5千円円、目標人数1千人)銅像でインボブルヘッド、サンクスムービー、ポーズ投票権など

⑥PlanF=オモイをカタチに「銅像のポーズ候補に投票」(金額1100円、目標人数2千人)サンクスムービー、ポーズ投票権

当初、クラブは「世界を代表するファンタジスタ、アンドレス・イニエスタ選手が2018年にヴィッセル神戸に移籍し、ファンを魅了する数々のプレーはもちろんのこと、サッカーに対する揺るがない哲学、豊かな人間性など日本サッカー界に多大なる影響をもたらしてくれました。イニエスタ選手のプレーを一目見ようとホーム、アウェー共に、スタジアムは満員となり、Jリーグ全体の価値向上に寄与しています。Jリーグ及び日本サッカー界の発展に多大なる貢献をしているイニエスタ選手への感謝の想いをカタチにするこのプロジェクトにぜひ多くの人にご参加頂きたいと考えております」としていた。特設サイト(https://www.vissel-kobe.co.jp/special/cf_pjt/)も用意していた。

欧州のスタジアムをめぐると、有名なウェンブリー競技場(イングランド)のボビー・ムーア像をはじめ、ゆかりのある著名選手の銅像を各地でみかける。ところが、日本で思い浮かぶのは、鹿島アントラーズの本拠地のカシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)にある元ブラジル代表のジーコ像ぐらい。Jリーグ発足から30年が経過する中、他のスタジアムにも、レジェンドといえるサッカー選手の銅像があっていい気がする。イニエスタ像が、その先陣を切ればいいと思っていた。本当にもったいない。

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