自民、改憲へ正念場の年に 覚悟問われる参院選

自民党の憲法改正実現本部会合であいさつする岸田首相(中央左)=2021年12月21日午後、東京・永田町の党本部
自民党の憲法改正実現本部会合であいさつする岸田首相(中央左)=2021年12月21日午後、東京・永田町の党本部

自民党にとって今年は党是の憲法改正に向けた正念場になる。衆参の憲法審査会で野党第一党・立憲民主党を巻き込んで議論を具体化し、改正すべき項目を絞り込めるかがポイントだ。議論進展には世論の後押しが不可欠となる。夏の参院選で「得票につながりにくい」とされる改憲を訴え、争点化できるのか覚悟が問われている。

「国民的議論を喚起するには、われわれ国会議員が国会の内外で議論を積み重ね、発信していくことが必要だ」。岸田文雄首相は17日の国会での施政方針演説でこう強調した。

昨年12月の党憲法改正実現本部の総会には、党総裁でもある首相、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、安倍晋三元首相ら実力者が顔をそろえた。自民議員に対して党の本気度を見せつけ、世論喚起に取り組むよう奮起を促す狙いがある。

古屋圭司本部長は、講師派遣や会場費用の支援を行う代わりに、全ての自民議員が地元で憲法集会を積極的に開催するよう要請した。全国の比例11ブロックごとの責任者を近く決定し、全議員の取り組み状況をチェックする。実現本部幹部は「やる気がある議員、ない議員が浮き彫りになる」と語る。

昨年10月の衆院選では立民、共産党が議席を減らす一方、改憲議論に前向きな日本維新の会が勢力を拡大した。直後の臨時国会では衆院憲法審が毎週開かれ、国会の環境がようやく整いつつある。世論の機運も高まれば、左派支持層を抱える立民といえども「憲法のどの部分に課題があり、どう変えるべきか」という具体的な議論に参加せざるを得なくなるからだ。

安倍政権下では自民独自の改憲案4項目をまとめるなど党内議論は進んだ一方、国会の議論は停滞を続けた。最大の要因は「国民的な世論が十分に盛り上がらなかったこと」(安倍氏)。地元で改憲を説く議員は非常に少ない。各地での集会開催は重要だが、その上で夏の参院選が最大の好機となる。

首相は改憲を参院選公約の重点項目の一つとする意向を示す。ただ、自民は過去の国政選挙でも毎回改憲を公約した。公約に書くだけで、首相や党幹部が街頭演説で正面から訴えないため、争点化しなかった。

安倍政権下の衆参5回の選挙のうち、首相自ら街頭で積極的に訴えたのは令和元年参院選のみ。このときも熱心だったのは安倍氏やごく一部の議員で、世論のうねりは生まれなかった。昨年の衆院選で首相は街頭でほとんど言及しなかった。古屋氏は「政権選択選挙の衆院選は経済、外交など網羅的に訴えなければならないが、参院選は党への信任が問われる選挙だ」と語り、改憲の争点化はできるとの認識を示す。(田中一世)

会員限定記事会員サービス詳細