英官邸のコロナ・パーティー疑惑拡大 首相、謝罪も窮地

英首相官邸から出るジョンソン首相=12日、ロンドン(ロイター)
英首相官邸から出るジョンソン首相=12日、ロンドン(ロイター)

【ロンドン=板東和正】英国の首相官邸で新型コロナウイルス対策の行動規制下にあった時期にパーティーが開かれていた不祥事をめぐり、ジョンソン首相が窮地に立たされている。新疑惑の発覚がとどまらず、自身の参加も認めて謝罪した。だが、有権者は、厳しい規制を求めてきた政府の規則違反に不満を高め、与党・保守党内で首相の進退を問う声が強まってきた。

「規則をつくる人間がその規則を守っていないとの怒りは理解している。心からおわびする」。ジョンソン氏は12日、2020年5月20日に官邸で開かれたパーティーに参加したことを議会で認め、頭を下げた。

メディアによると、ジョンソン氏は官邸の庭で数十人の職員を慰労していたという。当時はロックダウン(都市封鎖)を実施中で、政府は仕事で不可欠な場合などを除き、屋外での同居人以外の面会は1人に制限していた。

13日には、官邸で職員らが21年4月にも飲酒やダンスを伴うパーティーを開いたことが発覚。当時、室内での同居人以外との集まりは原則禁じられていた。ジョンソン氏は参加していなかったが、開催日がエリザベス女王の夫、フィリップ殿下の葬儀前日であったため、首相官邸が王室に謝罪する異例の事態となった。

規則違反のパーティー疑惑はこれまで20年12月のクリスマスパーティーなどが報じられていたが、その後拡大。英紙デーリー・ミラーによると、毎週金曜日夕方に官邸で伝統的に開かれていた「ワイン・タイム」と称する飲み会は、コロナ流行中の20年秋から21年春まで開かれていたという。

一連の問題は、1974年に当時のニクソン米大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件になぞらえて「パーティーゲート」と呼ばれ、野党はジョンソン氏への辞任要求を強めている。ジョンソン氏への国民の視線も厳しさを増し、英調査会社ユーガブによると、12日時点で保守党の支持率は28%に落ち込み、最大野党・労働党(38%)を下回った。保守党が労働党に10ポイント差をつけられたのは2013年以来だ。

こうした状況を受け、保守党は危機感を高めている。閣僚らはジョンソン氏を擁護するために奔走するが、党内では首相交代につながる党首の信任投票実施を求める声も出始めた。重鎮議員のブリッジン氏はスカイニューズ・テレビなどに「国を率いるための道徳的権威を失った」とジョンソン氏を非難した。

専門家からはジョンソン氏について、保守党の価値を下げる「最大の負債だ」(英マンチェスター大のフォード教授)との厳しい見方がでている。

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