首相、責任負う「覚悟」強調 施政方針に勝海舟引用

衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

「行蔵は我に存す」。岸田文雄首相は17日の施政方針演説で、幕末に江戸無血開城で庶民を救った勝海舟の言葉を引用した。自分の行動は自分が責任を負うという思いがある。首相は就任以来、新型コロナウイルス対応などで迅速な決断や方針転換に踏み切ってきたが、改めて「責任は全て負う覚悟」を強調した。

「行蔵は我に存す、毀誉(きよ)は他人の主張」は、勝が福沢諭吉から、旧幕臣でありながら明治政府の高官に就いたことを批判され、それに答えた手紙に書いた。「行蔵(出処進退)」は自分の判断であり、評論は他人の仕事という意味だ。首相は演説の結びでも、「己を改革す」という勝の言葉を引用した。

演説の文字数は約1万1300字で、新型コロナに全体の4分の1近くを割いた。新型コロナ対応で感染拡大を防ぐには経済社会活動を制限する必要がある。いずれを重視しても国民の反発が出ることは避けられないが、首相は水際対策の維持や、沖縄県などへの「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用などを決断してきた。

首相が座右の銘とする「春風接人」は、勝にも影響を与えたとされる江戸後期の儒学者、佐藤一斎(いっさい)の言葉だ。春風接人は「春風のようにやさしく人に接する」という意味で、その後に「秋霜を以て自ら粛(つつし)む」と続く。コロナ対応を進めるには政府の政策に対する国民の理解や協力が不可欠で、首相が自身の行動を厳しく律していくことも重要になる。(田村龍彦)

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