経済再生 参院選控え成果急務 首相施政方針

衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(寺河内美奈撮影)
衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(寺河内美奈撮影)

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が急拡大する中、岸田文雄首相は就任後初の施政方針演説でコロナ対応を改めて最優先課題に挙げた。昨年10月の政権発足から3カ月で最大の難所を迎え、「メリハリをつけた対策」でコロナ克服を目指す。一方、日本経済の再生やコロナ後の在り方に向けた発信は理念が先行している。夏に参院選を控え、目に見える成果を出さねばならない段階に入っている。

「皆で協力しながら挑戦し、コロナ後の新しい日本を創(つく)り上げていこう」

首相は演説の冒頭、国民の協力を改めて呼び掛け、演説全体の約4分の1をコロナ対策に割いた。

首相は、オミクロン株の出現直後から厳しい水際対策を講じ、国内に感染が広がり始めると即座に国内対応に重点を移した。軽症者や無症状者には自宅療養を認めるなど医療提供体制の維持に万全を期す。

先手先手の対応が評価され、感染急拡大の中にあっても内閣支持率は高い水準で上昇傾向にある。「対応が後手に回っている」との批判を浴び、感染拡大に比例して支持率が下落した菅義偉前政権とは対照的だ。

関係省庁や自治体との連携も円滑になり、内閣官房幹部は「政権の対話力が役所の政策を引き出している」と語る。菅氏とは距離のあった政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家の意見にも耳を傾け、首相側近は「チームプレーで科学的知見を重視した政策決定をしている」と説明する。専門家が政府方針の最初の審判者との首相の考え方がある。

一方、日本を再び成長軌道に乗せられるかはこれからだ。首相が打ち出した成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」や、都市と地方の格差を解消する「デジタル田園都市国家構想」の議論が始まったものの、公的に決まる看護師らの賃上げ以外、目ぼしい結果は出せていない。

中国の海洋進出や相次ぐ北朝鮮のミサイル発射など安全保障環境は緊迫の度合いを増す。政権には保守層を中心にもっと厳しい対応を求める声もある。

首相は党総裁在任中の憲法改正を目指し、演説でも国会議論の重要性を強調した。自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党は改憲論議の具体化を目指し、首相は周囲に「結果を出さなければ」と話す。だが、それも参院選を勝ち抜かなければ先は見通せない。政権の継続を左右する参院選は半年後に迫る。「聞く力」を目に見える形で示す必要がある。(長嶋雅子)

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