統計業務は人員不足 「気の毒な環境」で対応鈍く

建設受注統計の書き換え問題に関し、検証委員会の寺脇一峰委員長(左)から報告書を受けた後、一礼する斉藤鉄夫国交相=14日午前、東京・霞が関の国交省(酒巻俊介撮影)
建設受注統計の書き換え問題に関し、検証委員会の寺脇一峰委員長(左)から報告書を受けた後、一礼する斉藤鉄夫国交相=14日午前、東京・霞が関の国交省(酒巻俊介撮影)

建設受注統計の書き換え問題で、14日に公表された国土交通省の第三者委員会による検証報告書は、背景に「人事政策における統計業務の軽視がある」と批判し、不適切処理は政府の姿勢に根ざしているとの見方を示した。各省庁の統計業務には、専門家もかねて「態勢が脆弱(ぜいじゃく)」と警鐘を鳴らしていた。統計の中央機関創設といった抜本改革を望む声も上がる。

「国民が政府の統計に信頼を置かなくなることが一番の心配。そうなれば(作成時に)協力を得られなくなり、しっかりした統計も作れなくなる」

第三者委の委員長を務めた寺脇一峰元大阪高検検事長は記者会見で、今回の問題の悪影響を懸念した。

不適切処理に関わった歴代の国交省担当者に聴取して作成された報告書では、随所で当該部署の「人員不足」に言及している。

都道府県への積極的な調査票の書き換え指示が担当者の負担軽減という側面もあったこと、発覚後も業務過多の中で問題への対処が「通常業務外の業務」になるとの認識から対応が鈍くなったことなどを挙げた。

当該部署の概要を説明する項目では「体調が万全でない職員や時間外労働への従事が困難な職員が配置されることが多かった」とする聴取内容を冒頭部分で説明。統計業務への理解に乏しい幹部の存在も含め、寺脇氏が一部担当者について「気の毒な執務環境」と同情を寄せる場面もあった。

政府統計をめぐっては、平成30年に厚生労働省の毎月勤労統計の不正が発覚したばかり。現場担当者のみならず幹部職員まで、専門性を要する統計業務への知識や理解が不足していることも一因とされた。

当時、改善策を検討した自民党内では、専門職員を配置した「統計庁」の設立など政府統計の一元化に向けた議論もあったが、組織の大幅改編よりも、統計業務におけるルールの強化・徹底や人材育成の促進などを進めると結論付けた。

ただ、統計に詳しい東京大学大学院の肥後雅博教授は、政府の統計部門について「(人材の)量や質、システム、予算など全てが脆弱」と改善には程遠い現状を懸念。人員を拡充し、人事異動の周期を延ばして専門知識を持つ職員を養成することが急務と指摘する。

また、将来的に統計作業の分野で政府全体の核となり、他省庁の業務をチェックしたり、担当者に指導したりする「中央統計機関」設置の必要性を訴えた。(福田涼太郎)

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