大相撲初場所8日目は、単独首位の関脇御嶽海が小結大栄翔を押し出し、8連勝で勝ち越した。
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取組を終えた御嶽海が手の甲で唇をぬぐった。大栄翔の激しい突き押しに何度も顔を跳ね上げられ、口の中が切れたか。
「もう我慢、我慢。絶対押されるし、我慢するしかないと。どこかで勝機を見付けて攻めるしかないと思っていました」
押されても引かず、逆に大栄翔がはたきに来たところに素早く体を寄せて押し出した。難敵相手に、まさに狙い通りの白星だったといえる。
7日目の玉鷲戦も含め、今場所は先手を取られても前傾姿勢を崩さない。「絶対に負けちゃいけないと思いながら取っている。それが強い」。これで無傷の8連勝。ただ一人、ストレートで勝ち越しを決めた。
御嶽海が全勝で中日を折り返すのは4年前の平成30年名古屋場所以来、2度目だ。この時は連勝を11まで伸ばして初優勝を飾っている。流れは悪くない。
直近2場所は9勝、11勝と来ており、大関への道が開けるかどうかは、残り7日間が非常に重要になる。
「勝っている時は(場所が)短く感じるけど、今場所はなぜか長く感じる」と御嶽海。いつも以上に神経を研ぎ澄ませている証拠だろう。
「(先のことを)考えてしまいますよね。考えないようにすればするほど考えちゃうと思うんで。明日からしっかり切り替えて、白星につなげられるようにやっていきたい」。真の強さが試される勝負はここからだ。(宝田将志)