通常国会は野党にとって夏の参院選で議席を積み増すための、最大かつ最後の機会となる。立憲民主党は実績を残せなければ泉健太体制が揺らぎかねないとの危機感を抱き、政府与党への追及を強める構えだ。
泉氏は「政策立案型」への転換を掲げているが、党内には先の臨時国会での論戦が迫力を欠いたことや、政党支持率が低迷する現状への不満や不安がある。国対幹部は「臨時国会は試運転だったが通常国会は攻撃的にいく」と話す。
主な標的とするのは新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」への対応だ。泉氏は14日の記者会見で「米軍由来の感染拡大を招いたことは問題だ」と述べ、水際対策を追及する。政府が対策強化に向けた感染症法改正案の提出を見送ることにも「最悪を想定するのであれば出すべきだ」と強調した。
国土交通省の統計書き換えや、森友学園問題をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)の真相究明なども重視。立民のベテラン議員は「論戦の中で新たな若手の『エース』が出てきてほしい。党の支持率が低いままでは泉体制が参院選までもたない可能性もある」と語った。
日本維新の会は国会議員に月額100万円支給されている文書通信交通滞在費(文通費)の見直し、衆院特別委員会の統廃合、憲法改正の必要性などを訴え、改革に理解を示す保守層の支持を集めたい考え。馬場伸幸共同代表は12日の記者会見で「自民を脅かす存在が必要であり、それが維新だと国会活動のありとあらゆる場面で訴えていきたい」と述べた。
国民民主党は「第三極」としての存在感を高められるかが焦点となる。東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との合流の有無も注目される。共産党は改憲反対などを訴える方針だ。(沢田大典)