ザ・インタビュー

資産形成で蓄えた「知恵」 厚切りジェイソンさん著「ジェイソン流お金の増やし方」

「家庭でお金の話をすることは大切」と話す厚切りジェイソンさん(桐山弘太撮影)
「家庭でお金の話をすることは大切」と話す厚切りジェイソンさん(桐山弘太撮影)

お笑い芸人であり、IT企業の役員として知られている著者が、コロナ禍で出版した新刊はお金についての本だ。実はすでに、一生家族が困らないだけの資産を築いた投資家。最近は独自のマネー哲学で注目されている。

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コロナ禍の日本で注目されたキーワードが「FIRE」。Financial Independence Retire Earlyの略で、経済的に自立し、早期退職を達成することを目指す造語だ。著者もFIREを達成した一人。アメリカで就職したときに投資を始め、約13年間で資産を築いたのだという。だが、「FIREという状態ですけれど、それを目指してきたわけではないんです」と明かす。「長期・分散・積み立て」という方針のもと、米国株のインデックスファンドに定期的に入金するという方法で、資産を築いたという。

そんな著者は、芸人仲間やスタッフなど周囲からお金の相談を受けることは多かった。「それなら実際に僕が何をしているかを本にまとめたら、人の役に立つんじゃないか」と考え執筆を決めた。

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本書で示される資産の築き方はシンプルだ。支出をコントロールし、積み立て投資をする。簡単なようだが、相場は暴落するときもあり、心理的に継続が難しい人も多い。「ぼくは理系でデータ分析も好き。あまり感情的ではない人間だから意識しなくても相場にそんなに影響されません」と話す。

「支出をコントロールできない人はいくらお金を稼いでもいくら投資をしても結局残らないですよ」。こう説く節約家は実際、自販機やコンビニでなるべくペットボトルを買わず、交通手段としてはまず歩く。飲み会には基本的に行かず、欲しいものは少し待ち、安くなってから買う。

「たとえば毎日コーヒーを2杯飲んだら千円かかる。でもアルバイトだったら1時間の時給分。1時間働いてコーヒーを2杯飲んでいるということを意識していますか」。ちょっとした支出でも、金額分の価値があるか考えるクセがあるのだ。

資産を築いた後も生活に大きな変化はない。「FIREを達成して何かご褒美を買いましたかとよく聞かれるんですが、逆になんでお金を使わないといけないのかと思います。今の生活に究極に満足しているから、これ以上お金を使う必要はないんです」

こうした金銭感覚に大きな影響を与えたのが幼い頃の家庭環境だ。「買い物をするときには安いものを見つけたり、外食するときには割引券を使ったりという生活が当たり前。両親も楽しそうにやっていて節約が趣味といった感じでした」

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投資や節約の一方で、常にリスクを取って挑戦し、努力して人生をコントロールしてきたからこそ、今があるのだという。

日本語を学んだのは、「ビジネスチャンスを作るために周りと違うスキルがあった方がいい」と考えたから。アメリカの大手企業で働いていたが、日本語を使うチャンスがあまりなかったため、「自分のスキルを最大に使って活躍したい」と考え、来日した。

IT企業に勤めながら、お笑い芸人養成スクールに通った。「Why? Japanese People⁉」と絶叫しながら突っ込みを入れるネタでブレークしたが、「お笑い芸人で稼ぐつもりはなかった。養成所に通ったのは楽しそうだったから。あんなにブレークしたのは予想外。人生、何が起こるか分からないですね」

最近では、キャリア形成について講演する機会も増えた。コメンテーターや映画・ドラマへの出演など、仕事の幅が広がっている。

「お金ありきではなく、本当にやりたいことかどうかで仕事を見られるようになった。そういう意味では、精神的な自由は増えました」

3つのQ

Qコロナ禍で生活の変化は?

散歩とか1人でできる趣味が多くてそんなに影響はありませんでした

Qマネーリテラシーを高めるには?

考える。把握する。実際に何にお金を使っているか意識するのが第一歩。ぼくは、1日何にお金を使ったか把握しています

Qこれからどんな映画作品に出演したいですか?

園子温監督の作品です。彼のグロテスクな作品は全部好きです。作品の激しさから刺激をもらっています

あつぎり・じぇいそん 1986年、アメリカ・ミシガン州生まれ。17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。イリノイ大学大学院で修士課程修了。IT企業の役員も勤める。テレビ番組「えいごであそぼ with Orton」に出演中。

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