長引く自粛、高齢者孤立に危機感「阪神大震災後と重なる」

体操に取り組む高齢者たち。新型コロナウイルスで参加者は3分の1ほどに減った=昨年12月、神戸市東灘区
体操に取り組む高齢者たち。新型コロナウイルスで参加者は3分の1ほどに減った=昨年12月、神戸市東灘区

平成7年の阪神大震災の経験から、神戸市で高齢者の支援を続ける人がいる。同市東灘区の任意団体「コスモス体操」代表の山本靖之さん(70)。地域の高齢者を対象に健康体操や茶話会などを催すが、長引く新型コロナウイルス禍で、引きこもりがちな高齢者が増えている。阪神大震災から17日で27年。体力や気持ちが落ち込む人たちの姿が震災直後の状況と重なり、山本さんは危機感を募らせている。

27年前、山本さんが住んでいた同区の市営住宅は震災で倒壊。避難所の小学校はいっぱいで、約3カ月間は近くの駐車場にテントを張るなどして過ごした。

厳しい避難生活を強いられつつも、災害ボランティアとして避難所の運営などに従事。そのまま地区の自治会長にもなり、地域の被災者の世話をしてきた。そこで何度も目にしたのは高齢者らの孤独死。震災で心身に傷を負い、引きこもることで周囲から孤立してしまうケースが多かった。

「高齢者が社会とつながりを持つことが重要だ」。そんな思いで平成28年、市側と協力し、高齢者向けに月1回のカフェを開設。30年からは、専門家を招いて手足の運動や脳のトレーニングをする教室を開く。

毎回50~60人が参加する盛況ぶりだったが、コロナの感染拡大以降は参加人数が3分の1ほどに。「感染対策を取っているので参加してほしいと促しても、『今はいいわ』と断る人が多い」と漏らす。

コロナ前は元気に歩いていたはずの高齢者が車いす生活になったケースもあり、山本さんには震災後の状況と重なってみえる。加齢による虚弱化は「フレイル」と呼ばれ、専門家は自粛生活で深刻化する「コロナフレイル」に注意を呼びかけている。神戸大大学院医学研究科の田守義和特命教授は「過度な自粛で心身の健康を崩しては本末転倒。感染予防とフレイル予防の双方を重視し、バランスの取れた生活を送ることが重要だ」と指摘する。

山本さんは訴える。「このままでは高齢者の孤立が進んでしまう。大きな災害が起きたらどう助けるのか、考えなければならない」(倉持亮)