近ごろ都に流行るもの

「オートミール餅化」 鍋料理にも〝腸活和食〟日本固有の進化

オートミール餅で雑煮風鍋を作った。いりこだし、鶏肉やかまぼこ、野菜に合う(重松明子撮影)
オートミール餅で雑煮風鍋を作った。いりこだし、鶏肉やかまぼこ、野菜に合う(重松明子撮影)

レンチンで手軽、いろいろなおかずに合う…。昨年の食トレンド大賞(主催・クックパッド)にも輝いた「オートミールごはん」。もともと「西洋の朝食」くらいの認識だったオートミール(オーツ麦のシリアル)を「米(こめ)化」する発想で日本の食卓に広がった。今年はさらに「餅化」へとわが国固有の進化を遂げ、冬の鍋料理に入れてもおいしい。腸内細菌のエサになる発酵性食物繊維が豊富なオートミールは、免疫力アップやダイエットを目指す「腸活」食材としても注目され、国内市場はこの4年で10倍超にも伸びている。

いりこだしに合う!

昨年末からネットで広がっている「オートミール餅」レシピ。どんなものかと自宅で作ってみた。

オートミール60グラムに対して片栗粉大さじすりきり1杯をつなぎとして合わせてから、50ミリリットルの水と混ぜる。レンジで1分半加熱、丸餅型に成形し、フライパンで焼くと「餅」が完成。

これを雑煮風の鍋に使おう。私の両親が愛媛県出身なので、うちはいりこだし。鶏肉、かまぼこ、野菜をたっぷり入れた鍋に餅を投入した。

おだしに合う! クセのない餅の弾力に、鶏モモのうまみや野菜のシャキシャキが調和している。しかし夫は「うーん、餅といえば餅かなぁ」と微妙な反応。

確かにもちもち食感なのだが、伸びはないので「すいとん」や「きりたんぽ」に近いかも? 味が染みても煮崩れしない。わが家の鍋の定番に加えた。

オートミールにつなぎの片栗粉(左)を合わせて「餅」を作る(重松明子撮影)
オートミールにつなぎの片栗粉(左)を合わせて「餅」を作る(重松明子撮影)

オートミール餅を考案した管理栄養士の中村りえさんにコツを教わると、▽生地をまとめる際、ラップを使っておにぎり感覚でにぎる▽まとめにくい時は水を適宜加える▽鍋に使う際は、表面をしっかり焼いてコーティングしましょう。

おにぎり、お好み焼き、餅…。多彩なオートミールレシピをホームページで公開しているのが、シリアル大手の日本ケロッグだ。意外にもオートミールの発売は昨年4月と後発である。

そもそもオートミール人気に火が付いたのは一昨年。体重を105キロから65キロに減らしたという男性のツイッターなどで米化レシピが話題となるなか、同社も開発に取り掛かった。

先行品との差別化として、パッケージで腸活をアピールする一方、日常食レシピを発信。大手の参入効果か、「ダイエットや筋トレ層から、ゆるく高齢者にまで広がり一般化した」と西村香里マネジャー。

オートミール市場は平成29年に4・6億円だったが4年後の令和3年(11月までの集計)は49億円と10倍超に伸びている。(端数切り捨て、インテージ調べ)。

日本での普及を後押ししたのは、腸活への期待感だ。その裏付けを食物繊維研究者、大妻女子大の青江誠一郎教授に聞いた。

「1・5メートルものヒトの腸には約40兆個の腸内細菌が棲んでいる。オートミールには腸内細菌のエサとなり有益な短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸など)の産生を促す、発酵性食物繊維のβグルカンが豊富にある」と解説する。

酪酸は大腸のエネルギー源となるとともに免疫の暴走を調整する制御性T細胞を活性化。酢酸やプロピオン酸は全身の短鎖脂肪酸受容体に認識されて、脂肪燃焼やエネルギー消費を促し、ダイエットにつながる。「発酵性食物繊維には次の食事の糖質吸収を抑える効果もあり、朝食にとれば昼間の血糖値上昇が抑えられ、満腹感が持続して間食が防げるでしょう」

オートミールごはんを常食する女性会社員(47)は、「息子が家を出たため、毎日お米を炊く必要がなくなった。1食分レンジで1分。私にはこれでいい」。個食向きの利便性も現代生活に合っている。

ただ、個人的な印象を正直にいえば、それなりにおいしい「米化」「餅化」も「本物」の味には、やはりかなわない。とはいえ、正月太りの調整には「化」が頼み。年始の〝重い〟現実を、料理の工夫で軽やかに乗り越えたいものだ。(重松明子)

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