政府、対北で膠着 打破への壁はミサイルとコロナ

朝鮮労働党中央委員会総会に臨む金正恩党総書記=2021年12月、平壌(朝鮮中央通信=共同)
朝鮮労働党中央委員会総会に臨む金正恩党総書記=2021年12月、平壌(朝鮮中央通信=共同)

北朝鮮が今年に入り、14日を含め立て続けに弾道ミサイルを発射したことで、日本政府は北朝鮮のミサイル技術開発が着実に進展していると分析する。北朝鮮は新型コロナウイルス対策に伴う「鎖国状態」にあり、核・ミサイルとともに拉致問題も含む諸懸案の包括的な解決を模索する日本としては、事態打開に向けた道筋が描けない状態が続く。

林芳正外相は14日、記者団に「国連安全保障理事会決議に違反するものであり強く非難する」と強調。政府は北京の大使館ルートで北朝鮮側に抗議し、外務省の船越健裕アジア大洋州局長は米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表と電話で対応を協議した。

北朝鮮外務省は14日、米国の制裁強化に「われわれは一層強力かつはっきりと反応せざるを得ない」と反発する報道官談話を発表したため、日本政府内でも新たなミサイル発射を想定していた。ただ、「報復宣言」から実行まで数日かかるのが通常だ。当日のミサイル発射という素早い反応に、外務省幹部は「ここまで早いとは想定していなかった」と驚いた。

北朝鮮によるミサイル発射が続くことで、拉致問題を含む解決に向けた糸口はなかなか見いだせない。米政府の対北制裁も事前に米側から連絡を受けていたが、制裁対象の7人は日本国内に資産があるわけではない。「日本が制裁しても実質的な効果はなく『真空斬り』になってしまう」(外務省幹部)のが実情だ。

膠着状態が続くことについて、政府高官は「最大の問題はミサイルよりも北朝鮮が厳しい鎖国状態にあることだ」と語る。北朝鮮はコロナ対策として中露両国との国境を封鎖しており、中国製ワクチンの受け入れも拒否しているとされる。

岸田文雄首相は金正恩(キム・ジョンウン)総書記との直接対話を呼びかける路線を踏襲しているが、現状では対話再開は難しい。政府は引き続き米政府に米朝協議の再開を働きかける方針だが、首相の訪米も新型コロナの新変異株「オミクロン株」の蔓延でめどが立っていない。(杉本康士)