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世界に誇れる美しい海 阿嘉島(沖縄県座間味村)

サンゴ礁の広がるケラマブルーの海。冬はザトウクジラが繁殖のためやってくる
サンゴ礁の広がるケラマブルーの海。冬はザトウクジラが繁殖のためやってくる

沖縄本島から約40キロ西方に位置する慶良間(けらま)諸島は、大小三十余りの島々からなり、「ケラマブルー」と称される世界屈指の美しい海が広がる。初めて見たときは、宝石のように透き通る青さに目を奪われた。

150万年以上前、慶良間諸島は本島北部まで連なる標高1500メートルを超える山脈の一部だった。長い年月の地殻変動により沈降して、現在の島々は山脈の頂部分に当たると考えられている。

琉球王朝時代には、中国との貿易船の係留地で、島の地形から風待ちの港として重宝されてきた。また操船に優れた島の人たちは船員として活躍したと伝わる。

慶良間諸島のほぼ中央に位置する阿嘉(あか)島は、先の大戦で米軍が初めて沖縄に上陸した地だ。港には平和を願って「平和の火 採火記念碑」が立つ。戦前まではカツオ漁やその加工業で隆盛したが、次第に漁獲量が減り衰退する。近年は、「ダイビングの聖地」として多くのダイバーらが集まり、平成26年には慶良間諸島国立公園に指定されて観光客が増えたそうだ。

慶良間諸島だけに生息する国指定天然記念物のケラマジカにも出合える
慶良間諸島だけに生息する国指定天然記念物のケラマジカにも出合える

阿嘉島周辺の海は、潮流が速く常に水が循環し、水温が低く水質も良好だという。そのためカラフルなサンゴ礁が広がる。約30年前に行われた阿嘉島臨海研究所の調査では、ミドリイシサンゴ類をはじめ250種類ほどのサンゴが確認された。

13~18年、オニヒトデが異常発生し多くのサンゴが壊滅的な被害を受けた。13年に島の人たちが有志で発足させた「あか・げるまダイビング協会」では、サンゴを捕食するオニヒトデやシロレイシガイダマシ類などを適度に駆除している。ダイビングショップ・ブループラネットの吉村剛さんは、「一面サンゴが無くなり荒野と化した海を見たときのショックが忘れられない。協会では20年以上にわたり作業を続けている」と言う。

30年3月5日の「サンゴの日」には、港近くに「さんごゆんたく館」がオープンした。サンゴの生態や保全に関する情報発信や島の行事などを紹介している。島では年間を通して祭事や神事も多い。館長の谷口洋基さんによれば、「島内に祈りの場である『御嶽(うたき)』が3カ所あり、現在もノロ(琉球神道における祭祀をつかさどる女性)が暮らして神事を執り行う極めて貴重な島」だそうだ。

島では世界に誇れる美しい景色や地域特有の奥深い文化、自然と共生する島の人たちと出会える。今年も島を巡り、魅力に富んだ島国・日本の全体図を描いていきたい。


■アクセス 那覇市の泊港から高速船とフェリーが運航している


■プロフィル

小林希(こばやし・のぞみ) 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後に『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマにしている。これまで世界60カ国、日本の離島は100島を巡った。

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