ソ連崩壊から間もない1990年代初め、在日オーストラリア大使館から、政務担当の公使が本社に訪ねてきたことがある。その日の朝刊に掲載したインタビュー記事で、日本の外務省高官が日豪関係に踏み込んだ発言をしていたことから、「彼の本気度を知りたい」とのことであった。
この外務省高官は、欧州統合を実現したドイツとフランスの提携を例に挙げ、日本が「いつも共同行動をとれるパートナー国はオーストラリアだ」と力説していた。さらに、「米国は重要な同盟国だが、対等のパートナーではない。アジア太平洋を見渡して、価値観が共有できるのはオーストラリアしかない」と述べていた。