内村「栄光も挫折も」次への糧に 今後は普及活動も

会見に臨む内村航平=14日午前、東京都品川区(川口良介撮影)
会見に臨む内村航平=14日午前、東京都品川区(川口良介撮影)

体操日本の男子エースとして2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で個人総合を連覇した内村航平(33)=ジョイカル=が14日、東京都内のホテルで引退会見を行い、体操界に残せたもの、今後の体操との関わり方について語った。

マイクを握った内村が固まった。引退会見で「体操界に何を残せたか」を質問されたときのことだ。

「結果以外に何かあるのかな? 他の競技の選手たちにもリスペクトされるような存在になれたことはうれしかったかな。新しくプロ(選手)の道を作れたこともそうだし、体操に可能性があることを示せた」

残したものは他にもある。日本の伝統である「美しい体操」を継承し、発信し続けたこと。海外選手をも刺激し、世界的に個人総合の水準を引き上げたこと-。功績は数え切れない。

内村自身にも多くのものが残った。リオデジャネイロ五輪以降は「体操を突き詰めていくことでは一番濃い5年間だった」。佐藤寛朗コーチとコンビを組み、全盛期と異なる体で競技と向き合い、敗北も味わった。「体操に対する知識が増え、今、世界中のどんな選手やコーチより自分が一番知っているという自負がある。(研究に)終わりがないこと、落ちたところからはい上がる力も知れた」との境地に達した。「栄光も挫折も経験できた」。その人間としての幅はセカンドキャリアの糧になる。

「体操で内村航平が作られた。感謝の気持ちを返していかないと」。今後は日本代表クラスの選手に経験を伝えるほか、子供向けの普及活動や演技の披露など「体操に関わる全てのことにチャレンジしたい」と考えている。

「体操を世界で一番知っていたいので、ずっと勉強したい。極めるという次元を超えて、もっと上のところまでいきたい」

愛するスポーツの魅力を、より広く、深く知ってもらおうとする活動は形を変えて続いていく。(宝田将志)