内村選手引退会見詳報

「最後に6種目をやって終わりたい」「世界で一番体操を知りたい」

会見に臨む内村航平=14日午前、東京都品川区(川口良介撮影)
会見に臨む内村航平=14日午前、東京都品川区(川口良介撮影)

内村は引退のあいさつを終えると、個別の質問に入った。

--笑顔が多かった。実際の気分は

「あんまりよくわかっていないです。辞めたいと思っていなくて、やれるならいつまでもやりたいと思っていたので、世界選手権に向かうまでで今後は本気で選手としてやっていくのは厳しいと感じたので、引退という決断をしたのですけど、僕の中ではそこまで重くも、すっきりも捉えていないというか、まだ3月までやるというのがあるのでこいう心境なのかもしれないけど、世界選手権に向かうまでは結構、これが最後なのかなみたいな気持ちではありましたね。本当に実際よくわかってないというのが一番の心境です」

--30年の競技人生を振り返って

「実績だけみると結果はかなり残せたかなと思うけど、振り返るとまだまだやれたなあ、あのときああしておけばよかったかなと思うので、本当に自分の競技人生に満足ができているかというと、そうではないかなと思う。まだまだあの時もっとやれただろうと凄く思います」

--今、一番感謝を伝えたい方は

「今は、いろんな人がいますが、コーチの佐藤(寛朗)ですかね。5年間マンツーマンでやってきて、かなり迷惑をかけたし、最後オリンピックで金メダルをかけてあげたいなと気持ちがあったんですけど、それができなくてちょっと残念だった。2人で体操を研究してきた、一緒に練習してきたコーチと選手という関係ではなく、同じ立場というか研究する立場でやってこれたし、この場で少しの時間で語り尽くせないくらい濃い時間をともに過ごしてきたので、ここに立っているのも彼のお陰かなと素直に心から思っています」

--最もこだわっているものは

「着地です。これまで個人総合で優勝してきた場面でも鉄棒の着地、いや全種目ですね。そこはこだわって世界チャンピオンとして、オリンピック・チャンピオンとして着地を止めるのは当たり前のことだとやってきたので、現役選手として最後の舞台になった世界選手権の最後もどういう演技でもいいんで着地は絶対に止めてやろういう気持ちでやれたので、そこは自分がこだわりを持ってやってきたのと、最後の意地を見せられたという思いがある。もちろん美しく見せるとか、他の選手と同じ技でも違うような動きみたいにを見せたりということはあるですけど、やっぱり着地を止めてるという印象を皆さんもお持ちだと思うし、僕自身もそこを追い求めてやってきたので、そこかなと思います」

-最も熱く盛り上がった瞬間は

「2つあります。2011年東京でやった世界選手権の個人総合決勝全6種目と、リオオリンピック個人総合の鉄棒ですね。今でも感覚とか、見た視界とかが記憶に残っていて、2011年の世界選手権も今まで感じたことのないくらいのゾーンを感じて、朝起きる2、3分前、もうすぐ目覚めるなあという時から、きょうは何をやってもうまくいくという感覚で目覚めて、試合が終わるまですべて自分の思い通りにいったという感覚があって、あれはもう一生出せない、一生出ないなと感じたし、ここまで自分の思い通りに行くことはもうないかなというくらいすぎ一日でした。リオオリンピックの鉄棒に関しては、あれだけの点差を逆転できたというのもそうなんですが、オリンピックの体操の歴史にも残せる激闘を、オリンピックの会場を2人で支配できたと感じられたのを、いまでも記憶に残っているので、その2つは絶対に今後の味わえないだろうなとそこで感じていました」

--3月12日の引退試合については

「もともとは2年前の3月に自分の名前の試合をやろうとしてコロナでできなくなってしまって、またやりたいと思っていたが、そんな中で僕も現役最後となるので、試合としては難しいという判断をした。そこで今まで体操選手が引退するときに引退試合というか、最後の舞台をやった選手はいなかったので、そういう場を自分で作ってやるという。これを引退していく選手たちにはスタンダードみたいな、目標にもしてもらいたいというのがあったので、なかなかみんなできることではないが、これだけ結果を残して体操をやっていければ、こういうこともできるだよと伝えたかった。僕自身はオールラウンダーでずっとやってきたので、最後の最後に6種目をやって終わりたい気持ちがあったのでそうしたかった」

--6種目へのこだわりは

「やりたくても6種目でも代表が目指せないから鉄棒で目指しただけであって、僕としてはどんな状態でも絶対に6種目をやっていきたい気持ちがあったんで、東京オリンピックを目指す過程が、今まで皆さんが見てきていないだけであって、僕は常に6種目はやりたいと思っていたし、練習もしてきたので、やることは普通だと思っているし、きついことはわかっている。体操は6種目やってこそという気持ちもあるし、後輩たちにもそこを受け継いでほしいとこでもある。あと心底好き。最後鉄棒だけやって終わるというのは自分が自分でない気持がするので6種目やってこそです」

--今後は

「これといって絶対やっていきたいという一つのことはなくて、日本代表の選手たち、後輩たちに自分が今まで経験してきたことを伝えたり、小さい子供たちに体操って楽しいんだよと普及活動をしたり、体操にかかわることすべてのことをやっていけたらいいかな。僕自身も完全に体を動かすことをストップさせないと思うので、自分が動いてみせてやるのも一つあると思う。体操にかかわるすべてのことにチャレンジしていきたい」

--体操への思いは

「ありがとうとかそんな軽い言葉では感謝を伝えられない。僕は3歳からやっていて体操しか知らないので、体操で内村航平が作られて、人間性もそうだし、競技も結果として残せたし、感謝の気持ちを返していかなければいけない。体操に対して世界で一番僕が知っている状態にしたいので、ずっと勉強し続けていきたい。極めるとかの次元よりずっと上に行きたい」