朝晴れエッセー

古時計・1月14日

「ボーン、ボーン、ボーン」

時を告げる時計の音が静かな居間に響く。

やっと帰ってきた。

新築祝いにとすでに鬼籍に入った亡夫の友人たちから贈られた、私の背より高い柱時計。

昨年11月中頃、突然振り子が動かなくなった。40年近く鎖でおもりを巻き上げてやさしい音をつむいでくれたものが急になくなり、何だか忘れ物をしたような-。

友人に紹介された時計屋さんが出張してきてくれたが、「これだけよく持ちましたね。今はすべてデジタル時代で古い振り子時計の修理は無理です。あとは後ろに穴をあけてデジタルで動かすか、このまま飾りとして使うかしかないでしょう」と。

仕方ないか、思い出の品だから飾りでもいいかと思っていた。

ところが2、3日して改めて時計屋さんから電話があり、「一度修理させてもらえませんか。持ち帰るので値は張るけれど、古い時計の修理はやってみたい」。

二つ返事でお願いした。

3週間ほどたって、帰ってきた時計は元通りのやさしい響きを聞かせてくれた。うれしかった‼

歯車の摩耗はかなりひどかったらしい。丁寧に修理してくれたご主人の職人魂に敬意を払うと同時に、いつもの場所でいつものように聞かせてくれる時計の音に耳をかたむけながら、ほっこりした気分になれた。


福田芳美(88) 奈良県平群(へぐり)町