ロシア主導の部隊がカザフ撤収開始 トカエフ大統領、権力基盤強化へ

【モスクワ=小野田雄一】中央アジアの旧ソ連構成国、カザフスタンで起きたデモで、同国に派遣されていたロシア主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)の平和維持部隊は13日、撤収を開始した。カザフでは今後、トカエフ大統領がデモの武力鎮圧を受け、長年実権を握ってきたナザルバエフ前大統領の影響力を排除し、権力基盤を強化していくのは確実とみられる。

トカエフ氏は12日、「CSTOは情勢安定化に寄与した」と表明。13日から部隊の撤収を始め、10日以内に完了させるとしていた。

カザフでは2日以降、燃料値上げに抗議するデモが全土に拡大。トカエフ氏は「外国のテロ集団」がデモを扇動していると主張し、治安部隊による武力鎮圧に乗り出した。カザフの支援要請を受けたCSTOは部隊派遣を決め、6日から政府施設やインフラの警護を担当してきた。

カザフは2019年まで約30年間にわたり大統領を務め、「国父」と呼ばれるナザルバエフ氏の下、ロシアや欧米、中国などとの間でバランスを取る「全方位外交」を進めてきた。CSTO部隊の派遣をめぐってはロシアの発言力拡大を警戒する欧米諸国が懸念を表明しており、トカエフ氏は早期の部隊撤収で、欧米との関係への影響を抑えたい狙いとみられる。

一方、トカエフ氏はデモ鎮圧の間に、国家安全保障会議議長の役職をナザルバエフ氏から引き継いだと発表。マミン首相を事実上更迭し、自身に近いスマイロフ第1副首相を後任に就けたほか、ナザルバエフ氏の側近、マシモフ国家保安委員会前議長らを国家転覆容疑で拘束した。

トカエフ氏はこれまで、ナザルバエフ氏の忠実な後継者だと目されてきた。ナザルバエフ氏側は同氏が失脚したとの見方を否定しているが、トカエフ氏は既存エリート層への不満がデモの一因になったとの考えも示し、政治改革に着手すると表明。今後はナザルバエフ氏の影響力を抑え、国家運営を主導していきたい意向とみられる。