露「軍事手段」改めて示唆 ウクライナ情勢で譲歩迫る

NATOロシア理事会に出席した(左から)シャーマン米国務副長官、ストルテンベルグNATO事務総長、ロシアのグルシコ外務次官、フォミン国防次官=12日、ブリュッセル(AP)
NATOロシア理事会に出席した(左から)シャーマン米国務副長官、ストルテンベルグNATO事務総長、ロシアのグルシコ外務次官、フォミン国防次官=12日、ブリュッセル(AP)

【モスクワ=小野田雄一】ウクライナ情勢をめぐり12日に開かれた北大西洋条約機構(NATO)とロシアの「NATOロシア理事会」で、ロシアは10日に協議した米国に続き、NATOに対しても東方不拡大の確約やウクライナへの支援停止を強硬に要求。軍事力を行使する可能性を示唆しつつ、要求を受け入れるよう圧力をかけた。

タス通信によると、露代表団を率いたグルシコ外務次官は同理事会後に記者会見し、ロシアはNATOに「国の安全を守るため、あらゆる軍事的・技術的措置を取りうると伝えた」と強調。「外交的手段がなくなれば、軍事的手段で脅威を排除する」とも警告した。

ロシアは「軍事的・技術的措置」の内容について具体的な言及を避けている。露専門家の間では、欧州向けミサイルの増強などを意味し、即座にウクライナ侵攻を意味するものではない-との見方が支配的だ。経済低迷が続くロシアに、侵攻時の軍事費増大や欧米による経済制裁に耐えられる余力はないとの観測も強い。

ただ、ロシアは「自国民保護」や「自衛権行使」などの名目でウクライナ侵攻を正当化する余地を残しており、あえて「措置」の内容を明確にせずにNATO側の疑念を拡大させ、交渉を有利に運ぶ思惑だ。

グルシコ氏は、ウクライナ情勢の緊張緩和には、ウクライナ東部紛争の解決に向けた和平合意で、ロシア側に有利な「ミンスク合意」をウクライナ政府が履行することが不可欠だとも主張した。