「EUとしてインド太平洋に艦船派遣目指す」 仏担当大使が書面インタビュー

フランスのインド太平洋担当大使、クリストフ・プノ氏(仏外務省提供)
フランスのインド太平洋担当大使、クリストフ・プノ氏(仏外務省提供)

【パリ=三井美奈】フランス外務省のクリストフ・プノ・インド太平洋担当大使が13日までに、産経新聞の書面インタビューに応じた。フランスが今月、欧州連合(EU)の議長国に就任したのに伴い、インド太平洋で、EU加盟国による艦船の共同展開を目指す方針だと明らかにした。

インド太平洋には昨年、フランスや英国、ドイツ、オランダがそれぞれ艦船を派遣し、日本や米国と共同訓練を行った。プノ氏は、EUが昨年9月に初のインド太平洋戦略を発表したことに触れ、艦船派遣は「共同展開が望ましい。フランスは、その目的に向け、欧州各国と取り組みを進める用意がある」と述べた。

EUの議長国は半年ごとの輪番制で、フランスは今年上半期の議長国として、EUの安全保障指針「戦略的コンパス」を採択することを目標に掲げる。プノ氏は「海洋安保の対応は、主要課題の一つ。重要地域では海軍展開の拡充が必要となり、当然、インド太平洋が関わってくる」とし、EU加盟国の艦船派遣が活発化する可能性を示唆した。

米英豪が昨年9月、安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を発足させたことについて、プノ氏は「EUやフランスの役割が顧みられなかった。信頼関係が損なわれた」とし、豪州との潜水艦開発契約を破棄された仏政府の反発を正当化した。その上で、フランスの地域情勢分析は「AUKUS参加国と一致している」と述べ、米豪との関係修復に取り組む用意があると主張した。

仏海外領ニューカレドニアを取り囲む南太平洋情勢について、プノ氏は中国の島嶼(とうしょ)国への援助が「債務のわな」につながっているとして警戒感を示した。「中国の援助では、融資を受けた国が依存度を高め、中国の政治目的に利用されるケースがある」と述べ、別の選択肢を示す必要性を訴えた。

日仏関係では「仏軍と自衛隊の相互運用性を高めることが優先課題」だと述べ、昨年5月、仏軍が初めて日本で陸上演習に参加した意義を強調した。

プノ氏は駐マレーシア、駐豪大使を歴任。仏政府が20年、インド太平洋担当大使を新設したのに伴い、初代大使に就任した。